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『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


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第85話 譲渡

 闇は、消えていなかった。


 引き剥がされただけだ。


 世界樹の根に縫い止められた闇の精霊王が、

 裂けた影の奥から、嗤う。


『……愚かな』


 声は、もはや個体ではない。

 世界の裏側そのものから滲み出る響き。


『我は、滅びぬ』


『鎖を断たれようと、形を失おうと――』


『闇は、世界の一部だ』


 闇が、なおも蠢く。


『いずれ、世界は再び闇に覆われる』


『その時、ヒトも、精霊も、神も――』


『等しく、沈む』


 その言葉を最後に、

 闇の精霊王は世界樹の奥へと沈み、

 完全な封印領域へと押し戻された。


 勝利ではない。

 猶予だ。


 沈黙。


 その中で、嵐が――消えていた。


 暴風神テンペストが、

 完全な神の姿で、ユウトの前に立つ。


『……感謝する』


 低く、深い声。


『我は、闇に囚われ、力を歪められていた』


『そなたは、討たず、切り離した』


『それは、勇者にも、神にも、容易い選択ではない』


 テンペストの視線が、

 ユウトの手にある剣へと向かう。


 精霊王の剣。


『……本来』


『この剣は、精霊女王が持つべきもの』


『なぜ、ヒト族の手に渡ったのか――』


 テンペストは、静かに首を振る。


『分からぬ』


『だが』


 その視線が、世界樹へ向く。


『世界樹が認めた』


『それだけで、理由は十分だ』


 テンペストは、一歩、前に出た。


『しかし』


『精霊王の剣は、精霊女王の時代の象徴』


『これから先、そなたが背負う戦いは――』


『暗黒龍、、』


 次の瞬間。


 嵐が、凝縮する。


 暴風、雷、天鳴。


 テンペスト自身が、

 一つの概念へと変換されていく。


『ゆえに』


『我が、そなたの剣となろう』


 世界が、震えた。


 精霊王の剣が、静かに砕け、

 その中心へ、嵐の核が流れ込む。


 雷が、刃を成し。


 風が、形を与え。


 神の意志が、柄となる。


 ――神話級武装、顕現。


《風雷神のふうらいしんのつるぎ


 暴風神テンペスト、完全同調武装。


 ・暴風神テンペスト召喚可能

 ・風属性精霊術:消費MP 0

 ・雷撃付与/天候支配(限定)

 ・勇者スキル連動:Lv10以上


 剣を握った瞬間、

 ユウトの視界に文字が走る。


――勇者スキル:Lv10

――神話干渉権限、部分解放


 ユウトは、剣を見つめる。


「……重いな」


 テンペストが、微かに笑う。


『神を背負うのだ』


『軽いはずがあるまい』


 サラが、一歩前に出る。


 精霊女王として、堂々と。


 ユウトより精霊王の剣を受け取る。


 精霊王の剣(四精霊王と並ぶ者)と変化


 サラは剣を見つめる


 テンペストは、深く頷いた。


『それでいい』


 嵐が、完全に収束する。


 世界樹が、低く鳴った。

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