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『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


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第七十ニ話 ――世界樹に集いし精霊神と、暗黒竜の夜

――世界樹に集いし精霊神と、暗黒竜の夜


 世界が、悲鳴を上げていた。


 三国が滅び、

 六つの国が灰となり、

 大地は割れ、空は黒く染まった。


 それでも――

 世界は、まだ終わっていなかった。


 なぜなら。


 世界樹が、そこに在ったからだ。


 暗黒竜が、世界樹へ近づいたその時。


 風が、止まった。


 炎が、揺らぎを失い、

 水が、波を忘れ、

 大地が、息を潜めた。


 世界樹の根元。

 白く輝く大地に、四つの存在が顕現する。


 それは、精霊王ではない。


 精霊王の上位。

 この時代、人々が「神」と呼んだ存在。


 ――精霊神。


 暴風神 テンペスト

 嵐そのものを纏う存在。

 風を支配するのではない。

 風が、彼の意思に追いつこうとする。


 モンスター・レベル13。

 だが、この時代においては

 「災害」の概念に最も近い神。


 そして、彼には――

 息子がいた。


 後の時代、

 風の王イルクと呼ばれる精霊王。


 まだ若く、

 まだ神に届かぬ存在。


 爆炎神 イグナ=バルド

 炎を生み、炎に還す者。

 爆発、燃焼、消滅――

 破壊のすべてを司る神。


 雷水神 ヴァル=リュミア

 水と雷を同時に操る存在。

 海を割り、空を貫く裁きの神。


 溶岩神 グラ=マグナ

 大地の奥底に眠る怒り。

 火と土の融合体。

 山を生み、山を殺す者。


 四神が揃った。


 世界樹は、沈黙したまま

 彼らを見送る。


 ――戦うのは、神々の役目。


 暗黒竜が、降り立つ。


 山よりも巨大な影。

 翼一振りで、嵐が起きる。


 咆哮。


 空間が、裂けた。


 精霊神たちは、同時に動いた。


 爆炎神イグナ=バルドが、最初に突撃する。


 世界を焼き尽くす炎が、

 暗黒竜の胸部を直撃する。


 だが――

 炎は、闇に呑まれた。


 雷水神ヴァル=リュミアが、

 雷槍を叩き込む。


 雷が、闇を貫く。


 一瞬――

 暗黒竜の動きが止まった。


 その隙を、溶岩神グラ=マグナが突く。


 大地が裂け、

 溶岩の奔流が暗黒竜を飲み込む。


 だが――


 暗黒竜は、倒れない。


 闇の精霊王が、

 その身体の奥で蠢いていた。


 怒り。

 憎悪。

 終わらせたいという衝動。


 神の攻撃を、

 “糧”として吸収していく。


「……このままでは、止まらない」


 暴風神テンペストが、悟った。


 神々の力でも、

 完全な討伐は不可能。


 ならば――

 止めるしかない。


 テンペストは、息子を見た。


 イルク。


 まだ神ではない、風の王。


「見るな」


 そう言って、

 テンペストは前に出た。


 世界が、嵐に包まれる。


 暴風神の全存在が、

 嵐へと変換される。


 神格の自己崩壊。


 命を燃料にした、

 最後の一撃。


 テンペストは、

 暗黒竜の核へ突っ込んだ。


 嵐が、闇を裂き、

 暗黒竜に――

 致命傷を与える。


 だが。


 闇の精霊王は、

 その“隙”を逃さなかった。


 テンペストを、

 喰らった。


 神を、飲み込んだ。


 暴風神の意識は、

 闇に沈む。


 怒りだけが残る。


 理性が消え、

 守護が消え、

 破壊だけが残った存在。


 ――風魔神。


 世界樹が、初めて動いた。


 根が、空間を貫き、

 風魔神テンペストを拘束する。


 完全封印。


 場所は――

 世界樹内部・第120層。


 倒すことはできない。


 だから――

 待つ。


 いつか、倒せる者が現れるまで。

 暗黒竜は、退いた。


 致命傷を負い、

 完全な勝利は得られなかった。


 だが――

 世界は、深く傷ついた。


 精霊神の時代は、

 ここで終わる。


 そして、

 この戦いは――


 千年後、

 一人の少年へと

 引き継がれることになる。


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