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『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


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第六十四話 スキル不足

 第六十一層へ続く黒い扉の前で、ユウトは歩みを止める。

 理由は単純だった。


 ――この先は、勢いだけでは越えられない。


 ユウトは腰の剣に手をかけ、静かに引き抜いた。


 精霊王の剣。


 イフリートとクラーケン、二柱の精霊王を宿す剣だ。

 だが、その刃は――まだ、完全には応えていない。


 意識を内へ向けると、感覚が研ぎ澄まされる。

 精霊術の流れは、はっきりと分かる。


(精霊術は……レベル7)


 精霊は拒んでいない。

 力も、十分に流れている。


 だが。


(剣術は……まだ6)


 その差が、剣の状態として現れていた。


 精霊王の剣は、今は限定解放。

 力はあるが、全てを許されてはいない。


 剣身に、赤と蒼の紋様が浮かぶ。


 まず、炎。


 イフリートの力は、熱ではなかった。

 燃やすための炎ではない。


 ――破壊。


 剣を振るえば、刃に宿った炎が構造そのものを壊す。

 鎧も、装甲も、魔法障壁も関係ない。


 斬るのではなく、砕く。


 防御という概念を、根こそぎ否定する力。


(火は……破壊だ)


 次に、水。


 クラーケンの力は、柔らかさとは無縁だった。


 刃にまとわりつく水は、高圧の刃となり、

 防御をすり抜け、肉体を切断する。


 そして――逃がさない。


 命中すれば、水圧が絡みつき、

 相手の動きを完全に拘束する。


(切って、縛る……殺す水)


 炎と水。


 どちらも、はっきりと“攻撃”のための力だ。


 だが――

 今のユウトには、同時に使うことは許されていない。


 剣術が、足りない。


 精霊王の剣は、使用者の技量を見ている。

 力任せに振るう者には、全てを預けない。


 視界に、数字が浮かんだ気がした。


 経験値。

 これまで積み上げてきた戦いの証。


 残りは、ほんのわずか。


(……あと、もう少しだ)


 一戦。

 それも、大きな一戦ではない。


 だが、その一歩が、

 人の剣と、王の剣を分ける。


 サラが、隣で小さく息を吐いた。


「剣が、待ってるわね」


 ユウトは、短く笑った。


「ああ。借り物は、ここまでだ」


 剣を握り直す。


 重さは変わらない。

 だが、そこに確かな“意志”を感じる。


 精霊王の剣は、静かに告げていた。


 ――まだだ。

 ――だが、近い。


 ユウトは黒い扉を見据える。


 第六十一層。


 ここから先は、

 精霊に守られて戦う場所じゃない。


 剣を振るう者として、試される場所だ。


「行こう」


 その一歩が、

 剣術レベル7へ至る境界になると――

 ユウトは、はっきり理解していた。


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