表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/82

第三十四話 灼熱の終焉

 炎の巨人が、動いた。


 いや――

 襲いかかってきた。


 これまでとは、明らかに違う。


 広間全体が震え、

 殺意が、熱となって叩きつけられる。


「……っ!」


 サラが息を呑む。


 理性も、選別もない。

 完全な殲滅意思。


 炎の巨人は、七つの街を滅ぼした災厄。


 対話など、最初から存在しない。


 右腕が振り下ろされる。


 空間が、歪んだ。


 直撃すれば――

 防御も回避も関係なく、即死。


(……間に合わない)


 ユウトの判断は、冷静だった。


 剣を構える暇もない。

 避ける角度もない。


 死ぬ。


 そう理解した、その瞬間。


 意識の奥で、

 感覚が弾けた。


 転がる、二つの目。


 六。

 六。


 ――六ゾロ。


 本来なら、身体は粉砕されていた。


 だが現実は違った。


 炎の巨腕が、

 ほんの僅か、あり得ない誤差で地面を叩く。


 爆風が、ユウトを吹き飛ばす。


 床を転がり、

 全身を焼かれながらも――


 生きていた。


「ユウト!」


 サラが叫び、即座に行動する。


 アイテムボックスから、銀の矢を抜き取る。


「――水よ、ウンディーネ!」


 蒸気が噴き上がり、

 炎の軌道がわずかに逸れる。


 だが、止まらない。


 続けて――


「――風よ、シルフ!」


 風が炎を押し流し、

 ユウトの進路をこじ開ける。


 精霊同調エレメンタル・コンダクト


 精霊術レベル7。


 精霊が、同時に応えなければ成立しない技。


 それでも、足りない。


 炎の巨人が、さらに踏み込む。


 ファイヤストーム。


 広間全体が、再び炎に包まれる。


 逃げ場はない。

 防御も意味を失う。


 サラの銀の矢が放たれる。


 一射、二射。


 一本は燃え尽き、

 一本が、かろうじて炎を裂く。


 だが――

 核心までは届かない。


「……このままじゃ――」


 サラの声が、掠れる。


 ユウトは、剣を握り直した。


 精霊王の剣。


 まだ未完成。

 だが、逃げる理由はなかった。


「……前に出る」


 短く言い、踏み込む。


 殺意の中心へ。


 近づくだけで、体力が削られる。

 肺が焼け、視界が白く滲む。


 炎が、拒絶する。


 身体が、限界を超えて悲鳴を上げる。


(……届かない)


 誰が見ても、無理だった。


 その瞬間。


 再び、

 意識の奥で“感覚”が弾ける。


 転がる、二つの目。


 六。

 六。


 3度目の六ゾロ。


 世界が、静止した。


 炎が止まったのではない。


 “割れた”。


 本来なら、剣など届かない距離。

 本来なら、近づくだけで焼け死ぬ領域。


 だが今、

 炎の中に――一直線の道が見えた。


「……そこだ!」


 サラの叫び。


 最後の銀の矢。


 風と水が、限界まで矢を支える。


 放たれた矢が、

 炎の核心を貫いた。


 刹那。


 炎の巨人が、初めて――

 悲鳴に似た咆哮を上げた。


 その隙を、ユウトは逃さない。


 精霊王の剣を、両手で振り抜く。


 全力。

 迷いなし。


 理屈も、計算もない。


 ただ、斬る。


 刃が、炎の核心へ届いた。


 次の瞬間。


 炎が、爆ぜ――

 そして、崩れた。


 破壊ではない。


 解放。


 灼熱の巨体が、形を失い、

 炎が、一本の流れとなって剣へ吸い込まれていく。


『……終わったか』


 低く、重い声。


 灼熱の精霊王――

 イフリート。


『我は、焼き尽くす存在』


『だが――

 斬られたのは、久しい』


 炎は、完全に剣へ還った。


 広間の熱が、急速に引いていく。


 ユウトは、その場に崩れ落ちた。


 サラが駆け寄る。


「……生きてる?」


「……なんとか」


 精霊王の剣が、赤く輝く。



ステータス更新


精霊王の剣(火)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ