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『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


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第三十話 第五階層――受け取る条件

 第四階層を越えた先は、静かすぎるほど静かだった。


 足音が、消える。


 風も、炎も、水音もない。


 そこは広場ですらなかった。

 何もない空間。


 だが、ユウトは理解していた。


 ここが――

 第五階層。


 力を選んだ者が、

 代償を問われる場所。


 視界が、ゆっくりと暗転する。


 次の瞬間、

 ユウトは“自分の前”に立っていた。


 否――

 立たされていた。


 そこにいたのは、剣を持つ少年。


 今よりも、少し幼い。

 少しだけ、迷いのある目。


 ――過去の自分。


『問う』


 声が、空間そのものから落ちてくる。


『力を得たいか』


 即答できなかった。


 欲しい。

 だが、軽く口にしていい言葉じゃない。


 少年の自分が、剣を握りしめる。


『力を得れば、世界は救える』


『だが――』


 声が、重くなる。


『救えなかった命も、すべて背負う』


 光景が、流れ込む。


 守れなかった村。

 間に合わなかった声。

 選択を誤った結果。


 剣を振るうたび、

 「もしも」が積み重なっていく。


(……全部、俺の責任になる)


 逃げ場は、ない。


 力を持てば、

 言い訳は消える。


『それでも、進むか』


 ユウトは、剣を見た。


 精霊王の剣ではない。


 自分の剣。


 迷いは、消えていた。


「……進む」


 短い言葉。


 だが、確かだった。


「力は、目的じゃない」


「守るために立つ」


 少年の自分が、微かに笑った。


 そして――消える。


 空間が、震えた。


 次の瞬間、

 五つの気配が、同時に“近づく”。


 風。

 炎。

 水。

 土。

 森。


 精霊王ではない。

 だが、王に至る道の“門”。


 剣が、震えた。


 精霊王の剣が、

 初めて――応えた。


 光が、強くなる。


 だが、解放ではない。


 あくまで――準備。


 視界に、文字が浮かぶ。


――第五階層・試練達成――

条件達成:覚悟

精霊術:共鳴段階へ移行


 ユウトは、息を吐いた。


 膝が、わずかに揺れる。


 背後で、気配が戻る。


 サラだ。


 彼女は、声を失っていた。


 驚きではない。

 恐怖でもない。


 ――理解。


「……今の」


 かすれた声。


「もう、ヒトの修行じゃない」


 ユウトは、振り返らなかった。


「まだ、王じゃない」


「でも……」


 剣を、強く握る。


「王になる道には、立った」


 世界樹の奥が、

 わずかに、脈打つ。


 次に待つのは――

 精霊王の影。


 力を与える存在ではない。


 力を奪う存在。


 本当の試練は、

 これからだった。


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