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『昔やっていたテーブルトークRPGの世界に転生し、精霊に好かれるところから始めます』  作者: ゆふぉん


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19/82

第十八.五話 佑都の記憶

世界樹の前で目を閉じた瞬間、

 佑都として生きていた頃の感覚が、静かによみがえった。


 数字。

 段階。

 積み上げ。


(……やっぱり、同じだ)


 この世界は、感情だけで成長を許さない。

 強くなりたいと願っただけでは、届かない。


 必要な経験。

 正しい選択。

 そして、越えるべき順番。


 頭の中に、自然と“表”が浮かぶ。


LV2 必要経験値:1000

LV3 必要経験値:3000

LV4 必要経験値:5000

LV5 必要経験値:10000

LV6 必要経験値:20000

LV7 必要経験値:30000

LV8 必要経験値:50000

LV9 必要経験値:90000

LV10 必要経験値:150000


 懐かしい。

 だが、同時に厳しい。


 英雄という言葉が軽くならない理由が、ここにある。


(今回、獲得した経験値は……)


 意識の奥で、

 一つの数字が浮かび上がる。


 22,998


 救った村。

 守り切った命。

 逃げずに選び続けた判断。


 それらすべてが、

 別々の重みとして刻まれている。


(じゃあ、順に当てはめる)


LV1 → LV2 1000 消費

残り 21,998


LV2 → LV3 3000 消費

残り 18,998


LV3 → LV4 5000 消費

残り 13,998


LV4 → LV5 10000 消費

残り 3,998

ここで、止まる。


 次は二万。

 どうやっても、届かない。


(……精霊術は、ここまで)


 精霊術レベル五。

 熟練。


 精霊が、

 「話を聞いてもいい」と判断する境界線。


 前世で何度も見てきた。

 この辺りから、世界は甘くならない。


(剣術に回す選択もあった)


 だが、即座に否定する。


 剣は、身体だ。

 反射と筋力と、積み重ね。


 十二歳の身体では、

 経験値だけを積んでも意味がない。


(でも――精霊は違う)


 相手は意思を持つ存在。

 力ではない。

 数値でもない。


 どう向き合うか。

 どう頼むか。

 どう距離を取るか。


 それは――

 前世で、何年も当たり前にやってきたことだった。



(結論は、変わらない)


 剣術じゃない。

 先に上げるべきは、精霊術。


 英雄の条件は、七。

 だが、その前に越えるべき壁がある。


 熟練。

 レベル五。


 そこに立たなければ、

 精霊王の剣も、

 世界樹も、

 本当の意味では振り向かない。



 ユウトは、目を開けた。


 世界樹は、沈黙している。


 だが、その沈黙は拒絶ではなかった。

 待っている。


 この世界で、

 どんな成長を選ぶのか。


(……間違ってない)


 佑都の記憶は、答えをくれない。

 だが――

 判断の軸にはなる。


 まずは、精霊に好かれる。


 それが、

 王になるための最初の段階だ。





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