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言い訳ガチャ課の逆襲 〜遅刻を捏造するアプリが、なぜか現実世界を再構築し始めた件  作者: FujiNoYukiAI


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この遅刻は運命だったのか?アプリ開発者と「世界の脆弱性」

会社の会議室は、内閣府直属の特殊部署「言霊管理局」の臨時本部と化していた。

山田耕平、佐藤美咲、伊吹(管理局リーダー)、そして総務部長の四方田が、重い空気の中で向かい合っている。東京湾のKAIJUは、一時的に自衛隊によって沖合に誘導され、事態は小康状態にあった。

伊吹は、険しい顔で佐藤の分析結果を指した。

「失踪した開発者、『風間かざま れい』。その情報は、我々管理局の極秘事項だ。君はどこからそれを入手した?」

佐藤は涼しい顔で答えた。「簡単なデータ解析です。アプリのユーザー情報には匿名化された開発者IDが残っていました。ネット上の古い開発者フォーラムの情報を組み合わせただけです。そして、風間は『言霊管理局』に所属していた、元研究者だと推定できます」

伊吹は観念したように息を吐いた。「…正解だ。風間は、3年前に、我々が研究していた『言霊による現実の書き換え』の理論を盗み出し、姿を消した」

彼は山田に視線を移した。

「つまり、『言い訳ガチャ』は、風間が自身の理論を『平凡なトリガー』で発動させるために作った、実験装置だ。そして、そのトリガーとして、『最も逃げたい現実(=遅刻)』を常習的に持つあなたを選んだ」

山田「僕が…実験台?」

伊吹「そうだ。風間は、この世界が『極めて脆弱なシミュレーション』であり、強い言霊によって容易に書き換えられることを証明したがっていた」

佐藤が、山田のスマホを操作し、アプリの裏側のログを表示させた。

「伊吹さんの話を聞いて、アプリのUIユーザーインターフェースの裏に隠されたメッセージを解析しました」

画面に、隠されていた開発者からのメッセージが表示された。

To: 運命のトリガー(山田耕平へ)

【世界は脆い。だが、愛は世界を固定する】

私は、この脆弱な世界を破壊するつもりはない。ただ、世界の『バグ』を修正し、ある人物を探すために、このアプリを作った。

あなたの言い訳は、ただの遅刻の回避ではない。あなたが心の中で『信じてほしい』と願うほど、現実に定着する。

あなたの周りに、あなたの荒唐無稽な嘘を『心から信じる人』が現れた時、次の扉が開く。

――風間 零

山田は、そのメッセージを見つめ、ハッとした表情で隣にいる佐藤を見た。

佐藤は、視線を逸らさずに言った。「先輩。私は、先輩の重力装置も、古代遺跡も、そしてKAIJUも…信じていますよ」

その言葉は、まるで魔法のように、山田の胸の奥を熱くした。

伊吹は、状況がもはや公権力の範疇を超えていることを悟り、ため息をついた。

「風間は、自らの言霊理論に『愛』という非科学的な要素を組み込んでいたのか…。彼の失踪の理由、そして探している『ある人物』とは、妻か、恋人か…」

総務部長「つまり、このカオスを終わらせるには、我々が山田君と、その…信じる後輩に頼るしかない、ということか?」

伊吹は、苦々しくも頷いた。

「山田耕平。君の遅刻は、単なる寝坊ではない。失踪した天才開発者を見つけ出すための、君の『運命』だったのかもしれない」

管理局は、山田を監視下に置きつつも、彼の「現実改変能力」と、佐藤の「強烈な信頼」をセットで利用する、という前代未聞の任務を決定した。

伊吹「我々は、風間の残した痕跡を追う。君たちには、アプリが示す次のメッセージを頼りに、開発者を見つけ出し、この世界の『脆弱性』を安定させてもらう。この任務は、もはや公務であり、プライベートな捜索だ」

山田は、もはや経理課の業務に戻ることは不可能だと悟った。彼は、隣で静かに微笑む佐藤を見つめる。

「佐藤さん…僕のデタラメな言い訳を信じてくれて、ありがとう」

佐藤は照れながら、しかし真剣な目で言った。

「いいえ、先輩。この世界が本当に先輩の嘘でできているのなら、私はそれを信じます。それが、先輩の遅刻を無駄にしない方法ですから」

外の東京湾は、まだKAIJUの残した爪痕が残っている。平凡な会社員の遅刻が、世界の運命を決めることになった。山田と佐藤の、カオスでロマンチックな旅が、今、始まる。

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