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言い訳ガチャ課の逆襲 〜遅刻を捏造するアプリが、なぜか現実世界を再構築し始めた件  作者: FujiNoYukiAI


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2/6

庭に石碑が出た。俺の言い訳は、もはや考古学である。

前日の「重力調整装置」の言い訳がニュース速報となり、山田耕平は怯えていた。

「いや、本当に俺のせいなのか? ただの偶然だろう…」

だが、彼の不安を嘲笑うかのように、翌朝、事態は決定的なフェーズに入った。

午前8時30分。ギリギリでアラームに間に合った山田は、玄関を出て靴を履こうとした瞬間、足元に違和感を覚えた。

ズリッ。

玄関ポーチの一角、昨日までは平坦だったコンクリートの地面が、わずかに沈下している。よく見ると、沈下した部分の隙間から、何か人工的な石造りの構造物が覗いていた。

山田は恐る恐る屈み、スマートフォンを近づけてフラッシュを焚いた。

「嘘だろ…」

コンクリートの下から顔を出していたのは、装飾的な文様が刻まれた、鈍い光を放つ黒い石碑の一部だった。明らかに現代の建材ではない。

「…待て、俺、昨日の夜の言い訳、なんだっけ?」

彼は震える手でアプリを開いた。昨夜は残業で疲労困憊し、明日の遅刻を見越して事前にガチャを引いておいたのだ。

本日のお詫び、遅刻理由

「昨夜、自宅の敷地が突如として古代文明の埋蔵地に指定され、立ち入り禁止と発掘作業の立ち会いのため、やむを得ず遅刻いたしました。」

—言訳ガチャ Ver.3.0.2—

山田はスマホを取り落としそうになった。昨日の重力波は「装置が出現した」という言い訳への反応。そして今日は、「古代文明」という言い訳が、彼の庭という物理的な現実を書き換えたのだ。

「マジかよ。ガチャ、物理干渉機能つきだったのか!」

出社時間まであと15分。遅刻確定である。

山田は急いで会社にメールを送信した。「大変申し上げにくいのですが、自宅の庭から石碑のようなものが出現し、現在…考古学的な緊急事態に巻き込まれています」

会社は沈黙した。しかし、彼の家の前はそうはいかなかった。

山田が家から飛び出すと、すでに自宅前の路地には黄色い規制線が張られていた。作業服姿の男たちが何人も集まり、石碑を掘り出そうとしている。

「おい、どけ! 誰か、警察か役所を呼んだのか?」山田は現場監督らしき男に詰め寄った。

「あなた、この家の住人ですか? こちらは『文化庁指定 埋蔵文化財緊急調査団』です。昨日未明、この地点に地下の高密度金属反応と、古い石材の電波痕が確認されましてね。大至急の緊急発掘作業です」

山田は愕然とした。「いや、ちょっと待ってください! それ、昨日まで何もなかった場所ですよ!」

近所の主婦たちが集まり、ひそひそ話をしている。

「あらやだ、山田さんとこの庭、お宝が埋まってたの?」

「それより、昨日、山田さんが会社に送った遅刻の言い訳…『自宅が古代文明の発掘現場になった』だったって、奥さんが言ってたわよ…」

「えっ、まさか…山田さんの言い訳が、現実になったってこと…?」

「待て、俺の人生おかしくない?!」

山田が会社に到着したのは午前10時。彼はもう、普通の遅刻常習者ではない。遅刻と同時に世界を改変する能力者、というのが現状だ。

課長は疲弊しきった顔で山田を迎えた。

「山田…君の言い訳は、もはやジョークにもなっていないぞ。考古学的な緊急事態? 君は、会社をなんだと思っているんだ?」

「課長! 信じてもらえないのは承知ですが、本当なんです! 庭から石碑が…」

「もういい! 査問は夕方に回す!」

課長が頭を抱えていると、彼のデスクに佐藤美咲がコーヒーを持ってきた。彼女は、目を泳がせる山田に、そっと小声で囁いた。

「先輩、今朝、スマホでニュース見ましたよ。『世田谷区で突如、古代遺跡の一部が発見か』って。場所が…先輩のご自宅の住所と一致しました」

山田は冷たい汗が背中を伝うのを感じた。

「さ、佐藤…それは、単なる偶然だ。勘違いするな。」

佐藤は、微笑みながら首を横に振った。その目は、恐怖ではなく、確信に満ちていた。

「偶然じゃないです。一昨日、先輩が『太陽フレアで遅刻』って言ったら、本当にフレアのニュースが出ました。昨日、『重力装置で遅刻』って言ったら、重力波のニュースが出ました」

佐藤はコーヒーカップをデスクに置くと、少し身を乗り出した。

「そして今日、『古代遺跡で遅刻』って言ったら、先輩の庭が遺跡になりました」

彼女は真剣な眼差しで、山田をまっすぐ見つめた。

「先輩。その『言い訳ガチャ』って、何を現実に変えているんですか?」

「俺は、ただの寝坊常習者だ…」

山田の平凡な日常は、完全に崩壊し、彼の秘密を知る者は、この後輩女子一人となった。遅刻のたびに、世界の法則が書き換えられていく。このカオスは、どこまで進むのだろうか。



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