【8月12日(火) くもり。気持ちはほぼ土砂降り】
午前10時。目覚める。
脳内再生:「……私も」←川崎さん、昨日の花火の下での返答。
再生回数:57回
夢かと思って二度寝→夢の中で川崎さんに「それは夢だよ」と言われて起床
◆作戦その11:LINE送るか否か問題
状況整理:
夏祭りで会った
それなりに会話もした
最後に良い感じの“私も”があった
でも今日は平日(学校なし)=「送るべき?いや重い?」葛藤発生
■午前11時:LINE送信案、草案1
おはよう。昨日は楽しかったね
また話せたらうれしいです!
→却下。爽やかぶってて自分じゃない。あと“です!”が必死感。
■午後1時:草案2
花火、キレイだったねー。偶然会えてよかった!
→没。「偶然」を連呼すると逆にわざとらしい。
■午後3時:草案3
あの…昨日、ありがとう。
あと、浴衣、似合ってたよ。
→自爆覚悟の赤面コース。送信直後にベッドに顔埋める自分が見える。
■午後4時:一周まわって無言のスタンプ作戦
→スタンプ案候補:
「たーまや!」(→重い)
「また会えたらいいな」(→重い)
「昨日のかき氷、ブルーハワイ最強」(→うるさい)
結論:スタンプ、危険。誤解を招く宇宙語。
■午後6時:いったん風呂で現実逃避
→湯船で「俺は一体何をしているんだ」と5分間無心。
■午後8時:ついに送信
昨日はありがとう!
また話せたらうれしいなー
→シンプル。自然体。
絵文字も無し。語尾も丁寧すぎず、でもぶっきらぼうじゃない。
よし、これだ!
送信……
送信完了…………
【地獄の時間、発生】
既読つかない。
(20:03)
↓
(20:07)既読ついた!!
↓
(20:08)返事なし
↓
(20:15)返事、まだ
↓
(20:31)石田に「お前暇か」と言われる
↓
(20:44)洗面所で5回鏡見て髪を整える(なぜ)
■21:00——
スマホが震えた。
川崎さん:
こちらこそありがとう!
偶然だったけど、話せてよかった〜
また会えたらよろしくね
……
終わった……
いや、始まったのか……?
→【本日の結論】
・LINE送信とは、自分の心臓を差し出すことと同義
・“”は世界一救われる絵文字
・脈があるのかないのかは、神のみぞ知る(そして川崎さん)
夜、スマホを枕元に置いて寝る。
たぶん、これは人生で一番“返事を見つめた日”だった。
でもなぜか、ちょっと前に進めた気がした。
【明日予告】
8月13日(水)『夏休み後半戦、恋のブレーキとアクセルが同時に壊れそう』
返事は来た。でも次の一手がわからない。
「距離を詰めたい」と「怖い」が綱引き中。
このもどかしさも、きっと青春。