お爺さんの軽自動車
僕は古いおんぼろ軽自動車。
年季の入ったボディは、色あせた青色。
お爺さんが愛してくれるのは嬉しいけれど、最近はちょっと憂鬱なんだ。
まず、エンジンの調子が悪い。
始動するたびに「ガラガラガラ…」と音を立てる。
まるでお爺さんの関節が鳴るみたいだ。
お爺さんは「お前も歳だな」と笑うけど、僕は心の中で「お前もだろ!」と叫びたい。
毎回のように「またか」とため息をつかれるのが辛い。
そして、最近は道端にいる若い車たちの視線が気になる。
彼らはピカピカのボディに、最新のテクノロジーを搭載している。
僕はただの軽自動車。
彼らの前を通ると、まるで古い映画の主人公が現代の街を歩いているような気分だ。
彼らの「ブーン」という音に対抗する為、僕は「ギギギ…」という音を出す。
というかそれしか出ないからなんだけどね。
自分的にもかなり無理はしているなという自覚はある。
お爺さんは「頑張れ!」と応援してくれるけど、正直、恥ずかしい。
それでも、僕には特別な役割がある。
お爺さんと一緒に買い物に行ったり、友達の家に遊びに行ったり。
そんな時、僕は彼の大切な相棒だと感じる。
だから、憂鬱な気持ちを抱えながらも、今日も頑張って走る。
お爺さんが「お前がいてくれてよかった」と言ってくれるその瞬間が、何よりの幸せなんだ。
古いおんぼろ軽自動車としての誇りを胸に、僕は今日もお爺さんを乗せて走り続ける。
毎度お爺さんの臭いオナラをシートに喰らいながら。