第0迷 人迷救助隊:狭間未来
「未来ちゃんすごいですね。今月だけで3名も無事に<落ち人>を救助してますよ」
「あはは、今はこれしか取り柄が無いっすから」
照れるように笑った少女、彼女の名は[狭間未来]19歳。髪は肩にかかるぐらいのショートで、目はパッチリとクリクリしている運動神経抜群の女の子だ。彼女は[異世界デルカニア]に転移してしまった<落ち人>を救助する仕事をしている。
そこは都内にある高いビル群が並ぶオフィスの一角であった。未来は[五星商事]という日本有数の大企業に羽曽部食品から転籍し、【人"迷"救助】の仕事をしている。
五星商事は早くから異世界の存在に気付き、そこに稀に迷い込んでしまう<落ち人>を元の現代社会に戻すために、秘密裏に特別なプロジェクトチームを立ち上げていた。
<落ち人>と呼ばれる異世界に転移してしまった人々は、基本的にスキルと言う特殊能力を持ち合わせていない。これは科学の発展した現代社会と、魔法文化が発達した異世界デルカニアに住む人々の大きな違いでもある。その為、突然迷い込んでしまった人々は生きる術もなく、危険に晒される事が少なくない。
しかし、ごく稀ではあるが、現代社会でもスキル持ちは存在する。
それが彼女、狭間未来もそんな中の一人でもある。
また、未来に声を掛けた[岡宮真那]もスキル持ちである。彼女は社長秘書と言う立場でありながら、このプロジェクトチームの補佐をしている。チームと言っても、今は岡宮真那と狭間未来だけの二人だけである。
そして、この異世界のプロジェクトチームを立ち上げたのが、35歳と言う若さで大企業の社長に就任した[高虎悠乃助]である。無論、彼もスキル持ちであり、これまでも大きく異世界デルカニアに関わってきた。
『現代社会と異世界とを良好に繋ぐ架け橋を作る』
これが、このプロジェクトチームの目標でもある。
だが、今はまだ異世界に迷い込む<落ち人>も増え始めてしまい、五星商事だけが有している異世界とを繋ぐトンネルを使い、救助活動を行っているのであった。
「あ、未来ちゃん!また<落ち人>の反応があったわ。場所はグランデリッチより南の方角にある森よ。今、詳細のメールを未来ちゃんのスマートフォンに送付したわ」
真那がPCのモニターに目をやり、その情報をお茶を飲んで一息ついている未来に伝えた。未来はそれを聞くと席から立ち上がり、用意してあるリュックを背負った。
「オッケーっす![人迷救助隊]行って来るっす!」
こんにちは。蒼木しのです。
この章の主人公である狭間未来は本編でも重要な役割のあったプチヒロイン的な存在でした。
題名の人迷救助は人命救助をもじっています。間違いではないですよ(笑)
こちらのお話も新婚旅行編と同様に短めのお話を完結させながら進めて行きます。
引き続き読んでもらえたら嬉しいです。 しの




