丁寧な暮らしに必要なのは母と娘の麗しい共同作業 ~あらすじ詐欺ならぬタイトル詐欺~
キャッチーなタイトルにしてみました。母娘の日常です。
「普段、料理はしますか?」
と問われると口ごもる日々。
「えーっと、同居している母が料理上手なので……私が作ることは……あまり……」
聞いてきた人は、みな一様に優しい眼差しになります。
「大丈夫ですよ。今はコンビニとか冷凍食品とか便利な時代ですから、作れなくても問題無いです!」
違うんです~!簡単な料理なら出来るんです!ただし、条件がつきますが……。レシピを読みながらでないと一つも作れないんです。
冗談抜きでゆで卵を作るときも料理本を開きます。以前、ご飯を炊こうとネットでやり方を検索してたら母に泣かれました。
「育て方を間違えた……」
と呟きながら。
一回作れば、覚えるだろと言われますす。しかし私は完成した瞬間に手順を忘れます。多分1週間ぐらい毎食同じメニューを作れば、流石にレシピがなくても作れるようになると思います。
ただしその場合は、21食連続で同じメニューを食べ続けなければいけません。
苦手な事は、克服するより得意な人に任せた方が早いです。幸いな事に母は料理上手です。私はレシピがなくても出来るトイレ掃除や買い物を担当し、家事の棲み分けを行っております。
しかし、そんな私もごく稀にですが調理を行う事があります。それはお菓子作りです。
実は母は私と正反対です。レシピを読みながらだと、なに一つ作れないそうです。
私には理解不能ですが、手順も自己流で調味料も目分量です。しかも、外食で食べた美味しい物は舌だけで再現します。
そんな母にも弱点があります。それはお菓子です。お菓子は分量や焼き時間、手順などレシピ通りでないと上手くできません。そのため、母は苦手意識があるのか手を出さないのです。
という訳で、お菓子だけは自分で作ります。
まあ、お菓子作りと言っても私のはゼラチンで作るミルクゼリーやホットケーキミックスで作るバナナケーキなど簡単な物ばかりです。
それでも料理上手な母に普段は出来ないドヤ顔が出来るので、せっせと作成しています。
そんな、ある日の出来事です。
フリーランスの私は、自宅が仕事場です。いつものごとく、その日も書類作成に追われていました。追いつめられると私は子どもに返ります。
「お菓子が食べたいよ~!甘いものを寄こせ~!!」
「……あんた、何歳よ?」
情けない中年の娘に、母は嘆きを隠せません。
我が家は田舎にあります。一番近いコンビニでも2キロ近くあります。運転免許を持っていない70代の母に、買い物は不可能です。しかし、救いはありました。家にお菓子はありませんでしたが、ホットケーキミックスがキッチンに鎮座しておりました。
「お母さん!クッキー焼いて!!」
「はっ?私はクッキーなんて作れないわよ!!」
「私がやり方を教えるから!」
リビングの食卓にノートパソコンと書類を持ち込みました。そしてスマホで料理レシピのサイトを開きます
「お母さん、ホットケーキミックスと卵と牛乳とバターと砂糖を用意して!」
「バターなんて無いわよ」
「じゃあ、サラダ油。油分だから一緒!それからオーブンあっためて」
「なんであんたは、パソコンで書類作りながら人に命令できるのよ!?」
マルチタスクは私の得意技です。キーボードを叩きつつ、母を顎で使う鬼の所業を遂行します。
1時間後、母娘の共同作業の結果ドロップクッキーが無事に完成。
「美味しいよ~。美味しいよ~」
呟きながらほおばる娘。遠巻きに眺める疲れきった母。微笑ましい光景がリビングで繰り広げられました。
初めてホットケーキミックスからクッキーを作った母は、完成品の写真と経緯を家族LAINに載せました。
しばらくして、妹からコメントが返ってきました。
『レシピを聞きながら料理をするなんて、アレクサみたいだね』
えーっと、この場合は母と私のどちらがアレクサ(人ではない存在)?
最近は仕事が忙しくて家事をサボりがちです。母の負担が増えているのを反省中。
にもかかわらず、クッキーまで焼かせた鬼の娘です。(/・ω・)/