姫の過去
ついに明かされるアリアの過去。
ルカと出会う一瞬前、滝つぼの国の姫におきた出来事とは?
殺すシーンあるのでグロテスクゾーンかな。
学園の寮。
グイルは、とある王女の夢を見ました。
滝つぼの国という国の、エルフの混血の姫でした。
草にまで届く長い、銀に輝く黒髪に、瞳孔の存在のわからない青い瞳に可愛らしい顔立ち。
十年は生きていないであろう少女でした。
「父様~母様~」
とててっとアリア姫が翔けてきました。
父様は、銀色のふわサラな長い髪、整った顔立ち、背は人より高い細身の、美しいエルフです。
母様は、両サイドだけがやけに長い綺麗な金髪、綺麗な顔、出るトコ出て締まるトコ締まった(本人談)、ナイスバディの美女です。
実は天使です。
弟もいました。
美女(お母さん)とほぼ同じ髪型に同じ金髪、赤ちゃんらしいお顔♡
アリア姉とは違い、生まれた頃から翼は生えていません。
アリアにはありますが、隠しています。
一家はフェアリー家といいました。
王子様だったラミエルが、王位を捨ててアクアと結婚し、騎士となってからもらった姓です。
フェアリー家の住まいは、地位がやたら高いのに、王家の所有する森の中の小屋(人間でいう貴族の屋敷)でした。
名称は、あくまで“小屋”でした。
アリアはフェアリー家の娘で、第一王位継承者でした。
そんなアリアには、未来を見る力がありました。
本日見えたのは、ベリーを贅沢に使ったパイでした。
アリアの母、アクアの得意料理で、アリアとラミエルの好物です。
テンションを上げたアリアは、かごをじっと見つめました。
「私もベリーを採ってこようかな。雪兎も行く?」
アリアに抱かれし白うさぎのぬいぐるみは、こくんと頷きました。
「ルゥくんは?」
「まぁ!」
「よし、行こう!」
ルゥはアリアにおんぶされ、ベリーのかごを両手に持ってまいりました。
目指すは、両親のいる野ベリー畑です。
ぬいぐるみの雪兎は、ちゃんと戸を閉めてふたりを追いかけます。
途中で走りにくい事に気が付き、人の姿になって、改めて追いかけました。
すぐ追いつきました。
「…何でもアリだな。魔法界」
グイルのひとりごと。
目的地が近くなり、ルゥは雪兎に、かごはアリアに託されました。
「よ~し摘むぞ~」
「ど~!」
「主、ケガしないでね」
アリアは一歩踏み出し、盛大に転びました。
「主ィィィィィ!!」
「ねねェェェ」
後ろでそんな声がしやがります。
アリアはプルプルして、「痛い」と言いながら、顔だけ上げました。
矢が放たれる音がしました。
私の敵は、どんなに斬りつけてもキズひとつ負いません。
分かってるんだ…倒す方法は…。
なのに…どうしてもできない…。
あの聖剣…“アンキ”が…手に入らない…。
敵、我が敵よ…貴様は…なぜそんなにも強いんだ?
なあ…
“古典”!!!
あと“単語”!!“英単語”!!“英語”!!
うわ~ん!!