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夢のあとに

このグロテスクゾーンは終わりました。

どこぞの名門学園の寮で、グイルがむくりと起きました。

伸びた髪を高く結い上げ、さっさと着替えてしまいます。

部屋を出て一直線に向かったのは、ロンド・スプラチェル教授(歴史とかを担当)の部屋でした。


コンコンとノックをし、返事を待たずに入ります。

「ロンド先生」

血液摂取中のロンドがいました。

「おや、おはようございます。グイル」

血を飲んだばかりのロンドは、封印具の頭飾りを着けていません。

長い前髪で顔がやや隠れて、何気に“色気”が出ています。

密やかなサービスです。

グイルは「おはようございます」と返すと、来客用のソファーにちょこんと座りました。


嫌そうに血液を飲むロンドを、チラリとみます。

口には出せませんが、グイルは内心

「ロンド先生は、頭の奴とったら本当に綺麗だよな。封印具、取り換えればいいのに」

と思っていました。

遠まわしに「頭の奴は変えたりしないの?」と聞いたことはあります。

しかしロンドは、

「失礼な。毎日取り替えてますよ。十個も持ってるんですから」

と返してきました。

どうやら己の顔の美しさに気づいていないようです。

そういえば、

「私の友達に、凄い綺麗なコがいますよ。昔からよく女の子に間違われたりしていました」

と言っていた気がします。

「もしや、ソイツのせいで気がつかないのでは?」(ぼそっ)

「?」


しっかりうがいをしたらしいロンドが帰ってきました。

「今日は早起きですね。何かありました?」

ロンドは髪をとかしながら聞きました。

するとグイルは、

「別に。昔の夢、見ただけ」

と答えました。

それを聞いたロンドは、ブラシを一旦置いてグイルの肩に手をかけました。


「グイルだけの力の意味は、もう見つかりましたか?」

グイルは頷きました。

「そうですか。それは良かった。で?その意味というのは…」

備え付けの、教員を呼ぶベルがちりんと鳴りました。

校長からのお呼び出しです。

「おや。失礼しますね、グイル。あ、また戻るのでできたら教えてくださいね」

グイルはロンドを見送りました。

階段の下から、女子生徒が喜ぶ声が聞こえます。


生徒の部屋よりかなりデカイ部屋で、グイルは一人で突っ立っていました。

が、やがて口を開くと、次のように呟きました。

「俺は、今後こそ、大切なもの…ロンド先生を、護りたい」

そう言ってグイルは、部屋から出て行きました。







アリアは、いつも通りの時間に起きました。

(アリア母、アクアからもらった)お人形に入っている、柊から生れし赤い精霊ホーリーが、心配そうに浮かんでいます。

「どうだったのです?アリア~」

ホーリーは超くっついてくるので、くりんくりんのブロンドの髪がかゆいです。

「損はなかったと思う」

簡単に思った事を、アリアは言いました。


書斎に降りてきました。

竜王は小さなドラゴンの姿で、アリアの肩にいます。

ホーリーは、お気に入りのピンクのドレスを着てやってきました。

書斎へ来た目的はただ一つ。

あの魔術書です。


「……あ…ああ~」

もくもくと読んでいたアリアの声に、竜王と(お人形)ホーリーが、首を同時に傾げます。カワイイです。

「どうしたです?」「???」

「いや~。ね~。困ったな~。驚いたな~」

全く「困った」り、「驚いた」様子のないアリアは、頷きながら語りました。

「『夢渡り』を行った場合、記憶はふたりで共有すべし。

 すなはち、術者は見た記憶と、見合った、記憶を、かけた者にみせる、べし」

「「・・・・・」」

「なお、これは術者の意図とは関係なく実行される。なるほど」

「「・・・・・」」

「これは…私の場合は、私が父様ととさまを殺した時の記憶を、グイルさんが見るってことか」

「「・・・・・」」


「「ええ~~~~~~~~~~~~~~~っ!??」」

次、アリアの闇の全貌が露わになるデス。

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