魔力を持つ少年
作者は高校生になりました。
校舎の階段を昇るのはかなりキツイです。
エレベーターを使わせてくェェェェェェェェェェ!!!
“グイル・ジャスティス”
それは、さっきベルに聞いた名前です。
アリアはそれが気になっていました。
気になり過ぎて、寝た二時間後に起きてしまった程です。
アリアは暗い中、書庫に来ていました。
蝋燭の灯りと、側で赤く光っている精霊の光を頼りに、アリアは魔術書を読みます。
探していた魔術は、簡単に見つかりました。
「ホーリー。そこを動かないで」
「はいです」
「『夢渡り』」
ホーリーといわれた赤い光の精霊が、ふわふわと近づいて来ました。
アリアは、精霊にも分かるように読み上げます。
「『過去を知りたい者を眠りにつかせ、その者に過去夢を見せる』」
「過去夢ですか~」
「『術を行う者は、眠り、相手の夢を探る』」
書いてあるのはそれだけでした。
「ずいぶん分かりにくい読み物です。ね、アリア」
ホーリーの言葉にアリアは笑うと、
「これだけ分かれば良いんだよ」
と言いました。
寝室にて。
「とりあえず、グイル・ジャスティスさんに過去夢をみせる」
アリアは実行しました。
「そして、私は彼の夢に渡り、探る」
「アリアの魔力はスゴイです」
でもこの魔術は、ちょっと禁忌です。ないしょです♡
「おやすみ。ホーリー」
「行ってらっしゃいです。アリア」
アリアはコテッと眠りました。
「よし、できた」
難なく魔術は成功し、アリアは白い翼を上下に動かし、夢に飛び込みました。
漆黒の黒髪に、黒に近い色の眼の少年がいました。
持っていた水の入ったバケツを下に置き、家に入ります。
「ただいま帰りました!」
少年の元気な声が響きます。
「おかえり、グイル。早かったのね」
「水場、今日は誰もいなかったんだよ」
少年グイルと同じ漆黒の髪の妊婦は、慈愛に満ちた瞳で息子を眺めます。
「明日は安息日。麦は今日のうちにまとめておくのよ。父さんを手伝って」
「はい。母さん」
グイルは家の裏にまわりました。
「父さん」
茶髪の男が振り返り、グイルと同じ黒っぽい眼が見えました。
「おお!グイル、早いな!」
「手伝いに来たよ」
男は「がっはっは」と豪快に笑い、息子を荒っぽく優しく撫でて言いました。
「じゃあ、そっちの麦を頼む。夕飯までに終わらせるぞ!」
「うん!」
グイルは麦を束ね始めました。
「そういや」と夕飯時に父親が言いました。
「明日はグイルの誕生日だな」
「あら本当。じゃあ母さん、明日は頑張ろうかしら」
「だめだよ!」
楽しそうに話す両親に、グイルは言いました。
「母さんは頑張らないでよ!母さんのお腹には、俺の弟がいるんだから!」
必死な息子を見た両親は、愉快そうに笑いました。
「そうだな。二人目がいるんだからな」
父親が合わせると、母親は笑いながら
「ええ。でも、妹かもしれないわよ?グイル」
と、いじわるっぽく言いました。
「弟がいい!弟!」
母親のお腹にくっつくグイルを見て、両親はまた笑いました。
グイルは両親より先に眠りにつきました。
良い夢を見ているらしいグイルが微笑むと、その手から小さな光が生まれて消えました。
黒い影が、家に近づいてきています。
「身体は大丈夫か?」
心配そうに尋ねる夫に、グイルの身重の母は笑って言いました。
「グイルがお手伝いしてくれるから、大丈夫よ」
いわゆる聖母の微笑みを浮かべた母親は、お腹をさすり言いました。
「もうすぐに生まれるわ」
扉が勢いよく開かれました。
黒ずくめの男が数人、入ってきました。
「んむ…」
早くも寝ぐせをつけたグイルが起き出しました。
「あれ。夜だ」
不思議なくらい爽やかに目覚めたグイルは、夜中という事実に驚きました。
「もう明日かな?俺は誕生日をむかえたのか?」
グイルはしばし考え、とりあえず母さんを手伝いに行くことにして、寝着のまま、のそのそと寝室を出て行きました。
出たとたんに、何かを感じました。
「?」
(…嫌な感じだ)
グイルは嫌な感じの方に進みました。
三歩目を踏み出すと同時に、女性の悲鳴が家に響きました。
(母さん!?)
明かりのついた部屋に入ると、そこには黒ずくめの男たちと、血の海に沈んだグイルの両親の姿がありました。
時間が刹那に止まりました。
呆然と立つグイルに、ひとつの黒い影が近づいて来ました。
入学早々に何を書いとるんじゃコラァぁぁぁぁ!!!
ということで、グロテスクゾーンに入りました。
苦情は一切受けないゾ♡