姫と悪魔と鐘
陰の一座の優しき鐘が現れます。
あと、ポイントあったはずなのに・・・ハア。
爽やかな朝日がふたりを照らします。
アリアと、背の高い男です。
上は茶髪で下は金髪な、どこか悲しそうな雰囲気の男です。
「オレを知ってる?」
彼はアリアに聞きました。
アリアは表情を変えることなく「うん」と言いました。
「母様を殺して、父様に毒を入れた人」
彼は気まずそうな顔をして、再び表情を戻して名乗りました。
「俺はベルっていうんだ」
ベルにアリアがこくんと頷くと、ルカの呼び声がしました。
「ルカ」
アリアはルカに駆け寄ります。
「どなたです?」
気さくに声をかけたルカの正体に気づいたベルは、安心したように答えます。
「陰の一座の者です」
四方八方からナイフが飛んできて、ルカに刺さりました。
ルカは標的が自分だと判断し、アリアから離れます。
するとすかさずベルはアリアを抱えて、森の奥に消えました。
「姫さ・・・」
ルカの全身にナイフが刺さり、大量の血が地面を染めました。
誰かの「敵をとった!」という歓喜の声が聞こえました。
一座の皆さまが去った頃、ルカは全身血まみれで少し笑って言いました。
「いつでも呼んでくださいね。主君《lord》」
馬車が全力で走っています。
アリアとベルは向かい合って座っていました。
「とりあえず、何でこうなったか教えとく?」
「うん」
状況が第三者には見えないほど落ち着いているふたりは、井戸端会議の如きノリで話しだしました。
「ウチは『陰の一座』という組織でな、いわゆる悪の塊なのさ」
「でも、悪じゃないのもいるよ?ベルさんとか」
アリアは素直に言いました。
「呼び捨てで頼む。虚しいから。そうだな、確かに俺はやりたくてやってるんじゃないな」
ベルは首に巻いていた物を取ると、アリアに首元を見せました。
そこには、鳥のマークの焼印がおされていました。
「呪いの一種だよ。14歳で憑けられた」
アリアが表情を崩しました。
「これは、無理やり一座に入れられる者に憑けられる印。憑けられれば最後、死ぬまで一座に縛られる」
それは、無理やりやりたくない事をさせられる事です。
「滝つぼの国のアリア姫、君も早くしないと憑けられるよ」
急かすようにベルが言うので「何を早く?」とアリアは尋ねました。
「姫の、ルカとかいう悪魔を喚ぶんだよ」
なんと、ベルは気づいていました。
「知ってたの?」
「そうゆう目を持ってるんだ。ついでに魔力もある方でね。何か『外された存在を生む』と予言されたらしい。でなければここにはいない」
「予言?それでベルは入れられたの?」
ベルは頷くと、アリアの予言も教えてくれました。
「姫はね、『全ての頂点に君臨する存在』」
なるほど、とアリアは思うのでした。
「ちなみに、俺と似たような予言を受けてしまったコが最近出てきた」
アリアが心配そうにすると、ベルは安心するように手を振りました。
「彼は捕まえないでおくことになった。でも…」
「も?」
「彼は魔力無き世界の人間。両親を殺されて、今は魔法界にいる」
ベルは本当に悲しそうに言いました。
「その人の予言は?」
「『闇の王』。将来の彼の呼び名だと。あと、『外された者の成就』」
アリアとベルは少し黙りました。
「もし」
「?」
アリアが唐突に声をかけました。
「もし私が、その印の魔を消えないギリギリまで打ち消して、ベルに預言をするとしたらどうする?」
ベルはスグに答えました。
「お願いする」
アリアの内の封印石が全て出されました。
アリアはベルの焼印に触れ、一瞬にして大半の魔を無にしました。
「ベルは」
アリアの預言が始まりました。
「私のことでもっと苦しむ。そして再び、私の血縁者を殺すことになる」
ベルが息をのみました。
「そして、身体の死と同時に救われる。もう大丈夫」
「もうベルは、私のことで苦しまない。苦しませない。絶対に護る。私が」
『ルカ』
アリアの呼び声がしました。
血まみれ・ナイフまみれのルカは起き上がり、姫を助けに向かいました。
「闇の王の予言を受けた少年?の名前は?」
アリアの問いに、ベルは笑って答えます。
「グイル・ジャスティス。だって」
外から悲鳴と怒号が聞こえます。
「じゃあベル、起きたままは後からが大変だから、少し、眠ってくれる?」
「勿論。あ、あと」
ベルが言いました。
「ごめんなさい、と、ありがとう」
アリアが血の海と化した大地に立ちます。
「またね。俺の唯一の主さま」
後ろでベルの声が聞こえました。
ポイントォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!
あと感想ォォォォォォォォォォ!!