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悪魔の黒髪

ルカが恐れるモノ・・・それは・・・

ああああああああああああああああああああああ!!!

小屋に悪魔の絶叫が響きました。

「そんな…こんな…」

「どした?」

鏡の前で悶絶するルカに、竜王が話しかけました。

「あああ…あ…ああ」

「?」


「何?ルカに異変?」

「うん」

ルカの絶叫でも起きなかったアリアが、竜王からルカについて聞きました。

「何があったの?」

「立った」

「何が?」

そ・れ・は

「頭」

「は?」


ピンで何かを抑えまくったルカが、鏡の前で戦っていました。

アリアと竜王と(何故か)ラミエル隊長が覗いているのも気がつかない程の集中力です。

「…でき」

た、が言えずにピンが全て弾き飛びました。

そして、

「あ」「お」「・・・」

ルカの前髪は一部だけ長いです。で、そいつが見事に直立していました。

ぴーん。

「なんで」

ルカはテンションが超低いです。

アリアがばーんと入って来ました。

「はっ、姫様。や、あの…これは…」

「か~い~」

「はい?」

アリアの呪文のような発音に、ルカは変な汗をかきながら首を傾げます。

「ルカのそれ、かわい~」

一同沈黙。

そして各々《おのおの》の発言が飛び交います。

「アリアのカワイイはあんなのか」

「カワイイか?あのアホ毛はカワイイのか?」

「初めて言われました。…レバンの野郎なんて…すぐにからかったのに」

「ぴーんカワイイよ。ルカ」

「姫様ぁぁ!」

「ぴーん!」

「ぴーん」「ぴーん?」


ぴーんのまま、ルカはいつも通り過ごしました。

隊長も煙管きせるを吹かしながら帰って行き、静かな時が戻りました。

そして、日が沈むころ。

「むう」「・・・・・」「ああ!」

ルカの前髪は元に戻っていました。

「いや~、年に一回は必ずああなるんですよね。終わって良かった」

「ぴーん」

「竜王はサラサラだから大丈夫ですよ」

「ぴーん」

「姫様、竜王は何と?」

「『あのぴーんには秘密があるの?』」

「ないですよ」

「ぴーん」

竜王はまだ言います。

「『レバンって誰?』」

「あの『ぴーん』にそんな意味が?」

「ぴーん」

「はいはい。レバンはただの幼なじみです」

「悪魔の友達?」

「普通に喋れるじゃないですか。そーですよ。悪魔ですよ奴は」

ぴーんから、ルカの何かが見えたその日でした。




「月の魔力の滝つぼの国の姫。強大な魔力から我ら、“陰の一座”に見入られたもう一人」

ぼそっと、彼は言いました。

やや長い男の髪は、上は茶色で下は金髪という独特の色をしています。

夜のとばりの世界を、彼は黒いシンプルな服装で立っています。

「明日お会いしましょう。アリア姫」

彼の背で、星がキラキラと輝いていました。

ふくろうがはてな?と彼を見ます。

「闇の世界へお連れしましょう」

どこか悲しそうな声音でそう言い残し、彼はその場から雲のように消えました。

梟は興味を無くしたように「ホゥ」と一声鳴いて、音もなく夜の森を飛んで行きました。


レバンってカワイイ奴なんですよ。

よくルカと一緒に遊んでいたそうです。


今でいうピンポンダッシュが得意でした。

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