5話
朝日の暖かな陽光が俺を優しく包む。
いやぁ昨日は大変だった。スエラの実を種ごと食った俺は激しい腹痛に襲われながらも、何とか俺の寝床である洞穴に戻り。そのまま寝てしまったのだ。今は朝起きると催していたので、川で用をたしているところだ。
次からは食べる時は細心の注意を払ってから食べるようにしよう。
新たな教訓を得た俺は今日もレベル上げをするために森の中を散策する。
今日もこの森は穏やかだな。魔物が出ると静まり返るが、基本的には生命が溢れんばかりの輝きを放つ美しい森だ。
この美しさを前世でも知りたかったな。
もし知っていたら、インドア派からアウトドア派に鞍替えする程だと思う。
「いやぁぁ!」
!? 叫び声?
急いで叫び声のする方に駆けつけると
14歳ぐらいの金髪の少女がゴブリンに服をひん剥かれていた。
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名前:
種族:ホブゴブリン
レベル:8
HP:15/27
MP:0/0
筋力:21
俊敏:12
耐久:8
器用:12
魔力:0
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強い…今まで見た魔物の中で1番かもしれない。
俺がホブゴブリンにビビって動きを止めていると襲われている方の少女がこちらに気づく。
「わんちゃん…?逃げて!」
少女は自身が危険な状態にあるにもかかわらず、俺を逃がそうと声を上げる。
こんなの…逃げられるわけないだろ!
「グルルル!」
俺は威嚇の声を出してゴブリンを威嚇する。
その声に反応してか、少女の注意を促す声に反応してかは分からないが、ゴブリンがこちらを向く。
「ギャギャ?ギャッギャッ」
こちらを向いたゴブリンは俺が脅威足りえないと判断すると醜悪な笑い声を発する。
「な、何してるの早く逃げて!!」
少女は俺を逃がそうとわざとゴブリンの拘束から逃れようと抵抗して気をひこうとする。
ゴブリンはその抵抗を鬱陶しく思ったのか、
少女の方に向こうとし、俺から目線を外す。
その隙を逃さず、一気に地を駆けゴブリンに向かって体当たりを繰り出す。
その体当たりは俺の目論見通り、ゴブリンを大きく仰け反らし、少女の拘束を緩めてしまう。それを少女は見逃さず、拘束から抜け出す。
「私を…助けてくれたの?」
「ワンっ!」
俺は肯定の意味を込めて鳴き声を発する。
「グギャギャ」
ゴブリンは仰け反った状態から立て直したのか腰にさげている棍棒を手に取る。
その棍棒を構え、腰を低くしこちらに向かって駆けてくる。
その動きは前戦ったゴブリンよりは速かったが、単調な動きなので余裕をもって躱す。
その瞬間ゴブリンの前に突風が発生し、振り下ろす棍棒を弾き返すように押し返す。
!?なんだこれ!?なんにせよこの隙を見逃すか!
腕を上にあげられ、ガラ空きになったゴブリンの胴に爪による連撃をあたえ、一気にゴブリンのHPをもっていく、
ふぅ…やっと倒したか、そうだ、あの子は?
あたりを見渡すと地面に倒れ伏しているいる少女の姿が目に入る。
え?まさか俺を逃がそうと抵抗した時に…
体をゆすっても起きない
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名前:セリア・オズ・マリベット
種族:エルフ
レベル:5
HP:8/17
MP:0/20
筋力:8
俊敏:10
耐久:5
器用:8
魔力:22
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はぁ、良かったちゃんと生きてた。
セリア・オズ・マリベットって言うのか、創作だとミドルネームがある人はお貴族様とか結構地位の高い人が付いているイメージがあるんだがこの世界はどうなんだろ、しかもエルフ族か、確かに耳が少しとんがっている。
ともかくここじゃ危ない…とりあえず洞穴に連れていくか。
……どうやって連れてけばいいんだ?