43話
「この子全然起きないね…」
夜風に晒されながら帰路につく俺たち。
結局、ノラは俺に抱きついたまま寝てしまった。
セリア達はノラを俺から引き剥がそうとするが俺に抱きつく力が強すぎて無理だった。
なのでそのまま俺が運んでいる。
少し重いけど…ステータスが上がったから大丈夫…
既にジルクは道が違うので道を別れている。
「…なんでルイはノラちゃんの事を欲しがったの?」
俺達が帰路についていると、セリアから疑問が飛んでくる。
…そうだった。セリア達の間では勘違いで俺が欲しがった事になっていたんだった…
…少し考えたが、ここで俺が勘違いを直した所でセリアが傷つくかもしれないな。知らない方が幸せな事もある、と言うやつだ。
…一肌脱いでやるか!
『同じ匂い。』
なんか意味ありげなことを呟き、セリアの問いに答える。
「…同じ匂い…もしかして、白狼族だから?―――ッハ!まさか、この子は聖獣様の類…」
セリアは俺の言葉を聞いてブツブツと呟いている。
…なんか怖いほど上手く勘違いを加速させているようだ。
「ル、ルイはこの子が聖獣様の類だから助けてあげたの?」
…まず俺は聖獣じゃないんだよな…
どうしよ…そうだ!この子ステータス欄に【戦神の試練】という、謎の表記があったから…神の匂い、とかいう意味わからないことを呟いて勘違いさせるか。
『神の匂い。』
俺は首を横に振り、聖獣の類という疑いを晴らしてから、神の匂いという新しい匂いを呟く。
「…神様の匂い…」
それだけを反芻すると、黙ってしまった。
…そろそろ俺達の宿が見えてきた。
…もしかしなくてもこれ3人分のお金取られるのかな?
「おや、おかえり。…その子はどうしたんだい?」
宿に入ると、宿の主である、爺さんが出迎えてくれた。この人は撫でるのが上手だから良い人だ(?)
「えっと…オークションで見かけて…気になったので買っちゃいました。」
セリアは少ししどろもどろになりながらも真実を話す。
「…なるほどまぁこの子とはご縁があったということですな。」
宿の主人は深くは聞かずにそこで話を打ち切ってくれる。やはり良い人だ。
「…ですが宿のお代は3人分払ってもらいますよ。」
まぁ仕方ないか。ここで無料とかになったら怖いからお金にはしっかりとして貰った方が安心できる。
…朝のご飯代割り引いてもらった俺が言うことではないけどさ…
「とりあえず3日分。これでお願いします。」
セリアは懐からお金を出し、宿の主人に手渡す。
「…はい。頂戴致しました。ご夕飯はここで?」
お金を受け取った爺さんは夕食がいるか聞いてくる。
「いえ、夕食は摂ってきたので大丈夫です。」
「そうですか。では、いつも通り朝食は用意させて頂きますね。おやすみなさい。」
爺さんは優しげな声色で朝食の準備と、おやすみと言ってくれる。…やはり良い人だ。
「はい、おやすみなさい。」
セリアもそう言うと、自分が借りている部屋にまで戻る。
部屋に着くと、新たな問題に直視した。
ベットが1つしかないのだ。今までは俺とセリアが一緒に寝ていた。
まぁ犬だからベットで寝るのはおかしいのかもしれないが。
「…どうする?」
セリアは聞いてくる。
意図は十中八九ベットの事だろう。
ノラは一応オークションの運営の方で綺麗にされていたのか汚れは見受けられない。
うーんでもノラ俺から抱きついて離れないんだよなぁ…
『3人で…』
俺がゴリ押しで全員ベットに寝れないか提案する。
「…1回やってみようか。」
そう言うとセリアと俺とノラでベットに潜り込む。
結構ぎゅうぎゅうだが一応入れた。
「今日はこれでいいかもね。」
…そうかもな…
俺もノラを背負ってきた疲れが溜まっていたのか、ベットに入った瞬間に眠気が襲ってきてそのまま寝てしまった。




