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42話

なんだこれ…小説やアニメで見たものとはまるで違う。

想像以上に嫌悪感が凄い。現代日本で培われた感受性が目の前に広がっている非人道的な行いに凄い嫌悪感を俺に催させていた。


周りを見ても動揺している様子はなく単純に少女の競りをしているのみであった。

それがより一層、俺がこの場で異物だと言うことを再認識してくれる。


「白金貨13枚!」

贅肉のたっぷりとついた好色そうな爺さんが入札する。


…もう見たくないな…帰りたい…


『セリア…』

そう思い立った俺はセリアに呼びかける。


俺の呼びかけに反応したセリアは俺と顔を合わせて頷いた。


…?なんで今頷いたんだ?


「白金貨15枚!!」

セリアの毅然とした声が会場に響く。


…はえ?


「白金貨15枚!さぁこれ以上はいませんか?」

司会の男が他の会場にいる人を煽る。


「白金貨17枚!」

先程入札した好色そうな爺さんが少し顔を歪ませながら入札する


「白金貨20枚!」

間髪入れずにセリアがまたもや入札する。


それを見てまだまだ余裕があると思ったのか爺さんは顔を歪ませて身を引く。


「白金貨20枚!これ以上のお方はいらっしゃいませんか?……では白金貨20枚で落札!」

司会の男は他に居ないか確認したが、出てこなかったのでセリアが落札してしまった。


「…え?…セリアちゃんあの子が欲しかったのかい…?」

放心状態から戻ってきたジルクは未だに現実を見れない様子でセリアに聞く。


「いえ、ルイが私を呼んで欲しがったので…」

なんと、セリアは俺が名前を呼んだから欲しがったと勘違いしたみたいだ。


…違うんだよ…違うんだ……俺は帰りたかっただけなんだ…


「は…はは…まぁ買っちゃったものは仕方ないか…お金はあるのかい…?」

現実を受け止められたのか肩を落としながらそう尋ねる


「…ギリギリではありますが…ギルドの謝礼として受け取ったお金と経験値ポーションのお金があれば…」

ってことは俺達の稼いだお金はほぼ全て無くなったわけか。

クッ…まぁジルクの言う通りオークションで買ったものは返品出来ないだろう…


「…ならそろそろ経験値ポーションのお金と女の子を受け取りに行こうか…」

そう言ってよろよろと歩きながら目的地に向かった。



「いやぁ豪快な競りでしたね。私少しビックリしてしまいましたよ。さて、これが商品である白狼族の少女でございます。気をつけてお帰りくださいませ。」

俺が少し意識を遠のかせている間にもう売買は済んでいて少女の受け渡しが済んでいた。



「…えっと私はセリ……そうだ確か耳が聞こえなかったんだったね。ごめんね。」

自己紹介しようとするが耳が聞こえないことを思い出し、精一杯身振り手振りで伝えようとするがあまり伝わっていないようだ。


「とりあえず外に出ないかい?」

そう提案し外に出ようとするがノラはついてこなかったのでジルクが肩を叩く。


「ッ!……」

肩を叩かれたのに驚いたのか身を縮こまさてしまう。


…これは…どうしたものやら…


セリア達もどうしたらいいか分かっておらず、てんやわんやしている。


…そうだなぁ…治癒魔法を使ってみて呪いとやらを解呪出来…ないか…


治癒魔法も効果を成さずにただMPを消費するのみだった。


…念話が聞こえたりしないだろうか。


『聞こえる?』

そう念話をすると途端に顔を上げる。


…お!!反応があったぞ!


『俺は犬』『目の前の』

初めて念話を多用して伝える。

少し頭が痛くなったが許容範囲内だ。


少女は虚ろな目に漸く光を宿して俺を真っ直ぐに射抜く。

そうして俺に飛びかかり抱きついてきた。


俺に抱きついたノラは瞳から大粒の涙を流していた。


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