38話
目の前に広がる白銀の液体を見たジルクは、マジックポーチから容器を取り出し、無言で、かつ素早く白銀の液体を回収する。
「えっと、何してるんですか?」
その動きを見ていたセリアは問いかける。
「…セリアちゃんはこの液体を知らないのかい!?」
そう言って白銀の液体が入った容器を振り逆に問う。
「その液体の事ですか?…知らないですね。」
「…これは"経験値ポーション"これを服用するだけで無条件でレベル1を上げてくれる代物だよ。」
ジルクは少し呆れた顔をしながらも説明をしてくれる。
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メタルスライムの体液
メタルスライムを倒した時、稀にドロップする。服用するだけで無条件にレベルを上げることが出来る。
味はよろしくないので飲む際は覚悟が必要。
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ジルクは経験値ポーションって言ってくれたけど鑑定だと普通にメタルスライムの体液なのね…
某○○モンの飴ちゃんみたいな感じか。
「なるほど!凄い代物って事ですね。じゃあジルクさんが使いますか?」
セリアは理解したようだが…そんなに簡単に譲ってもいいのか?
「…いや僕には使わなくていいよ。不味いし…それよりセリアちゃんが使った方がいいんじゃないか?」
ジルクを経験値ポーションを譲る。
どちらも日本人精神が旺盛なようだ。
「…じゃあルイが使ってみる?」
うーん…別になぁ。正直こういう貴重なアイテムを使うのはもっとレベルが高くなってからの方がいい気がする。
それか売るか。…うん売ってお金にした方が互換性が高くなっていい気がする。
『売ったら?』
「…そうだね!…そう言えばこの経験値ポーションってどのくらいするんですか?」
セリアは思い出したかのようにジルクに聞く。
「…そうだなぁ、ざっと白金貨5枚くらい?」
なんか最近白金貨とか結構出てくるな。確か1番最上の単位のはずなのに…セリアの金銭感覚が狂ってしまいそうで心配だ…
「白金貨…レベル1しか上がらないのに、そんなに値段が張るんですか?」
「セリアちゃん。戦わずにレベル1を上げられるって相当凄い事なんだからね。それに、レベルが高い人も等しく上げれる事を覚えといた方がいいよ。」
ジルクはものを知らない子供に教えつける様に語る。
ごもっともである。
俺は○○モンがレベル99の時に使って記念すべき100にしていた。
あぁ…懐かしいなぁ。もし、戻れたらもう1回やりたいなぁ。
そんな哀愁の気持ちに浸りながら空を見上げていると、顔にポツンと何かが当たる。
「雨…ですね。」
何粒かしか降っていなかった雨は徐々に晴れ空を侵略する様に増えた雨雲によって勢いを増していく。
「うわぁ…土砂降りだぁ。こうしちゃ居られない。ほら、セリアちゃん、ルイくん!帰るよ!」
急な雨の来訪に焦ったジルクは俺たちを急かし、街の方まで走り出す。
「そうですね!ルイ、早く行こ!」
セリアも続く様にジルクに着いて走り出す。
あぁ…この世界にも雨はあるんだ。
まぁ当たり前か!
そんなくだらない思考を放棄して俺も走り出した。




