35話
祝賀会が終わった翌日、俺とセリアは防具屋に向かっていた。
前、ゴブリンジェネラルに腹に穴を開けられた時に革の防具が壊れてしまったらしい。
それにギルドの謝礼として渡されたお金を消費したいとの事、なんでも大量のお金を持つと不安だとか…
「ここで…合ってるのかな?」
閑散とした通りの裏側にポツンと店を開けている。
なんか…『ボロいね…』
「こら、あまりにそんな事は言っちゃいけません!」
俺の正直な感想を叱るセリア。
だって…所々壁が剥げているし…本当にここが防具屋なのか?
「とりあえず…入ってみようか。」
そう言うと店の中にセリアは入っていく、俺もその後に続いた。
中に入ると外見程にボロボロではなく、普通…どころか内装が綺麗で少しビックリした。
「あら?珍しいお客さんだね。エルフの子かい?それに…犬?」
店の奥から何となく艶のある女性の声が聞こえてくる。
少し俺達が奥に進むと気だるげに座っている紫髪の妖艶な女性がタバコの様なものを吹かせていた。
「あの、防具を買いに来たんですけど…ここで合ってますか?」
「えぇ、合ってるわよ。よくここに入ろうと思ったわね。」
この店の店主である筈なのにそんな事を宣う女性。
「あはは…まぁ、物は試しと言いますし…」
セリアは少し遠慮がちに言う。
「ふむふむ…」
女性は座っていた席から立ち上がり、セリアの身体を手で確かめるように触る。
「あ…あのぉ。」
セリアは若干戸惑いながらも蚊のような声をあげる。
「なるほどね…貴方、接近戦もこなしたりする?」
「え!あ、魔法が主ですがそれなりには…。」
そう答えている間もこの店の店主である女性はセリアの身体を触診している。
「…少し待ってて頂戴。」
そう言うと店の陳列棚の方に歩いていく、その歩には迷いはなかった。
「…ちょっとビックリしちゃった…」
女性が奥に行ったのを見届けると小さな声で俺に言ってくる。
『…変な人…』
「こ、こら。あまりにそんな事は「どうしたの?」
俺達がコソコソと喋っていると奥から戻ってきた女性が俺とセリアの間に顔を出す。
「うわぁ!」
急に現れた女性にビックリしたのか体を仰け反らして声をあげる。
「ふふ…そんなにビックリしちゃって…可愛い子ね。さて、貴方に似合う防具を持ってきたのだけど、どうかしら?」
そうやって手に持っている皮で出来た防具を見せてくる。
デザインも何となくお洒落でいい感じだ。
__________________
バトルリザードのレザーアーマー
バトルリザードの皮で作った革鎧、強い耐刃性と耐衝撃性を持ち、着用者の俊敏値を少し上昇させる効果を持つ。
___________________
おお、良い…すっごい良い。
「わぁ、良い感じです!ルイもどう思う?」
俺にも意見を求めてくるセリア。
『これ、良い』
「ふふ、仲良いのね。」
俺の念話が聞こえていない女性からしたら変だとは思うが、笑って済ませてくれる。
「じゃあ…これ下さい!」
俺の返答を聞いて値段も聞かずに即決で買うと決断する。
「分かったわ…金貨5枚するけど払える?もし良かったら分割で払えたりもするけど…」
「いえ!一括で!」
セリアが心配してくる女性を横に懐から金貨5枚を取り出し一括で払う。
「あら、随分と活きのいい子ねぇ。じゃあ金貨5枚丁度頂戴するわね。」
店主は慣れた手つきで金貨5枚を受け取る。
「ありがとうございます!」
セリアは元気よくお礼を言う。
いやぁ偉い!きちんとお礼を言うのは当たり前かと思うが、当たり前を出来ることは偉いと思うな。
「はい、また来てね。遅れたけど私はミラ。この店の店主をやらせて貰ってるわ。」
自己紹介をする女性、なるほどミラって言うのか。
「はい!また来ますね!」
「あ、そうそう。少し気になったのだけれど、この子の犬種ってシルバーレイツ?それともベルグル?毛並みが良いから聞いてみたくて。」
店を出る手前でセリアに問い掛けるミラ。
犬種か…俺自身考えたことなかったな。
何なんだろ…やっぱり高貴そうな犬種が良いなぁ…
「うーん……雑種?」
セリアは俺の方を見ながら容赦なく言う。
「…なるほど…」
ミラはバツの悪そうな顔をしながら相槌を打つ。
…そりゃないぜ…




