33話
「それでは!セリアちゃん達の銅級昇格を祝して乾杯!」
ジルクがワインが入っている盃を上げ、乾杯の音頭をとる。
「なんでジルク先輩が音頭をとってるんですか…」
昇格試験に全く関与していないジルクが音頭を取っているのが気になったのかツッコミを入れる。
「まぁいいじゃないか、それよりほらほらサバナちゃん達も飲んで飲んで!」
セリアのツッコミを軽く流してサバナ達に酒を勧める。その顔は少し赤く、もう酔いが回っているようだった。
おいおい…まだ1杯目だぞ、そんなに酒弱いのかよ…
内心呆れの意をジルクに送る。
「いやぁうちは大丈夫です。」
「私も…」
そんな酒の勧めもサバナ達には効かなかったのか軽く受け流す。
「そんなぁ…まあ、いいや店員さーん!もう1杯ワイン下さぁい」
酒が弱い癖にペースを上げてもう1杯頼むジルク。
いたなぁ…前世の飲み会でも酒弱い癖にいっぱい飲んでヘロヘロになる奴…
「そう言えば、このわんころ何処から拾ってきたのさ?魔法も使えるなんて普通じゃないよ。」
サバナが片手で焼き鳥をつまみ、片手で俺の背中の辺りを撫でながらそんな事を言う。
「私が森でゴブリンに襲われている所を助けてくれたんです。それ以降従魔契約を結んで一緒に生活してますね。」
…懐かしいな。まだそんなに経っていない筈なのに一緒に生活していた時間の密度が濃すぎて長く感じる。
「へぇ~なんか良いね。だから命の恩人って言ってたんだ。」
「まぁ…そういうことです。」
セリアは何となく気恥ずかしくなったのか頬をかいている。
命の恩人?なんのことだ?…まぁいいか。
そう言えば俺の善行ポイント溜まってたな。
確か…4900ポイントだったか。
1回だけ引いてしまおうかな?…引くか。
【魔法】
【技術】
【身体能力】
やっぱり遠距離手段が欲しいから魔法…かな
【善行ポイント3000を使用して魔法系のスキルを無作為に取得しますか?】
…あれ?ポイントの必要量上がってね?
まじかぁ…3000ポイントはちょっときついな…他の能力はどうなんだろ、技術とか。
【善行ポイント1000を使用して技術系のスキルを無作為に取得しますか?】
ほう…技術は上がっていないのか。
仮説をたてるとすれば1回引いた魔法は善行ポイントの必要量が上がるってことかな?
今のところそれしか上がる要素がない気がする
仕方ない…技術のスキルを引くか、さすがに一気に半分以上善行ポイントが無くなるのは気が引ける。
【承認の意を確認、実行します。】
なんか良い奴来てくれぇ!
【念話を取得しました。】
念話?なんだそれ。
<念話>対象に自身の思考を直接伝えることが出来る。レベル1現在では5文字まで。
…あれ?これもしかして異世界で初のコミュニケーションとれるのでは?
マジか!ちょっとテンション上がってきた!
どうしよう、5文字かぁ…悩むなぁ。
最初で転けたくはないしなぁ。
不意にセリアが俺の前に焼き鳥を運んでくれる。
お、ありがてぇ。
そのまま焼き鳥にかぶりつく。
口に含んだその瞬間口に広がる甘辛いタレの味と、パリッとした皮の食感が伝わってくる。
うお、『これ美味。』
一斉に俺の方を向くセリア達。
……あ
「「「しゃ、喋ったぁぁ!!」」」
セリアとジルクとサバナは一斉に声を上げる。
菊に至っては驚きすぎて目が点になっていた。




