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29話

「お母さんの草冠きれぇ!」

まだ齢8歳にも満たない幼女が手に持つ草冠をみて詠嘆の声を漏らす。


「こっちはどうだ?お父さんのも見てくれ。」

背丈が高い男がその草冠に対抗するように自分の作った草冠を幼女に見せる。


「ん~不格好でださぁい!」

幼女は容赦なく男の作った草冠を酷評する。


「は…はは。そうか…」


「こらセリア、ちゃんとお父さんも頑張って作ったんだから、お世辞でも綺麗って言いなさいな。あなたも!一々セリアの酷評で肩を落とすんじゃなくて、上手に作れる様工夫しなさいな。」

金髪の美しい髪を携えた佳人な女性が両者を窘める。


「はぁい。」 「……はい。」

幼女は何となく、男は肩を落としながら渋々了承の言葉を発する。


「奥方様、ご昼食のご用意が出来ました。」

そこに燕尾服を着た逞しい男が召使いの様に食事の声がけを3人にかける。


「あら?もうそんな時間?ならそろそろ頂こうかしら。」

佳人な女性が立ち上がりそれに続く様に男と幼女も立ち上がり、昼食が用意されている場所に赴こうとする。


「ところで、お嬢様このままで宜しいでしょうか?」

「ふぇ?」

昼食を食べようと赴こうとしたその時後ろ髪を引かれるように燕尾服の男に問いかけられ思わず間の抜けた声を出してしまう。


何か思い出す事あったっけ?…何回頭の中を振り返っても何も見つからない。けど何かを見落としている気がする。


「セリア、あなたはこのままで本当に後悔しない?」

今度は佳人な女性が問い掛けてくる。


「分からない…分からないよ…」

何度振り返っても思い出せない、だけど何かポッカリと空いた穴に途轍もなく違和感を感じて、頭を振る。


「はは。そんなに焦らなくて大丈夫だよ。君の相棒はそんなに弱くないだろう?」

男は優しい声で子供に教える様に言う。


…相棒?その時頭の中の最後のピースがパズルにハマったかのように全てを思い出した。


ルイ…そうだ私なんで忘れてたんだ…


「ほら、思い出したんだろう?なら君の相棒を助けなきゃ。」

男は優しい声で新たな門出を祝福するみたいに言う。


「あ…そうだ。セリア。君が現世に戻ったら、心の中でこう言うんだ。<風霊想起>ってね。」


「風霊想起?…分かった。」

少しだけ疑問を持ちながらも了承する。


その時世界の一部がパリンと砕け、景色が崩落する。もう世界が限界なのかもしれない。

最後にもう1つだけ伝えたいことがある。これが空想の世界だとしても。


「それとね。お母さん。お父さん。ポメロさん。…行ってきます!」

それを境に世界が完全に砕け、私の意識は急激に浮上していく。

※※※※※※※※※※※※※※※


ゴブリンジェネラルの怒涛の連撃を俺は変速を使いながら躱し続けていた。


セリアがゴブリンジェネラルの魔法で腹を貫かれた時、首に提げていたペンダントが光を放ち、セリアの身体を包み込んだ。その光が収まってきた時腹にあるでかい穴は見事に綺麗さっぱり無くなっていた。


それを見た俺はセリアがまだ生きていることを確信した。というか生きていてもらわないと困る。そうして今は出来るだけ意識を失っているセリアから遠ざけようとゴブリンジェネラルを引き付けている。


…そろそろこの怒涛の連撃にも疲れてきた…

その瞬間セリアを中心に風が荒れ狂い、周囲の木々をさざめかせる。

慌ててセリアの方を見ると、きちんと両の足で地を踏みしめていた。

__________________

名前:セリア・オズ・マリベット

種族:エルフ(風霊化)

レベル:11

HP:26/26

MP:23/32

筋力:19

俊敏:22

耐久:14

器用:15

魔力:34(68)

___________________



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