27話
…そうか俺が囮役か…
だったら!俺1人でコイツを止めてやるよ!
どうせ前世で捨てたこの命、前途ある若者のために使ってやる。
俺がやるのは時間稼ぎ、この圧倒的なステータスの差じゃあ現状、攻撃を当てたとしてもHPを1桁やっと削れるぐらいだろう。
だから、セリア達が街に戻って救援を求めてくれることを願って死ぬ気で時間稼ぎするしかない。
ゴブリンジェネラルは態勢を立て直してこちらに鬼のような形相で睨みつけてくる。
俺が使った変速を警戒してるのか迂闊に攻めてこない。
出来ればそのままで居て欲しい…
時間を稼げるって言うのもあるが変速ランダムアクセルにはちょっとした弱点がある、それは対象の部位を視認しなければならないという事だ。
あまり弱点とは言いづらいかもしれないが、もしゴブリンジェネラルが全速力で突っ込んできたら見えない可能性がある。
そのまま戦況が膠着していると、おもむろにゴブリンジェネラルは手を地面につける。
ん?何してんだ?…ッ!!
その瞬間、前方の地面が針状となってせせりあがってくる。
おいおいおい!!アイツ魔法も使えんのかよ!?
本当に間一髪で避けたオレは内心憤慨する。
魔法を避けた俺がゴブリンジェネラルを見ると、既にその場所には居なく、俺の方を目掛けて向かってきた。
やっべぇ!!速すぎて見えねぇ!
このままだと死ぬ…一刻も早く離脱するために足に変速ランダムアクセルをかけて飛び退く。
グヘェ…
俺もまだ変速の制御は出来ないから近くの茂みに急発進する。
あっぶねぇ木だったら死んでたかもしれん…
またしても俺に間一髪で避けられたゴブリンジェネラルは近くに生えている木を地面から強引に抜き、それを投げ飛ばしてくる。
その木は俺の頭上スレスレを通り過ぎて周囲の木を押し倒しながら飛んでいく。その余波によって俺の軽い身体も吹き飛ばされる。
はは…なんだよその力…出鱈目すぎるだろ。
正直この時俺は心が折れかけていたかも知れない、セリアに見捨てられ圧倒的な格上相手に時間稼ぎ、内心俺の人生いや、犬生も終わりだと悟っていた。
まぁ…前世の無味無臭のモノクロ色の人生終わらせた後に犬なってセリアと出会って、冒険して…なんだかんだ言って楽しかったな。最後にはセリア達の囮になることで命を救えたんだ、十分だろ。
ゴブリンジェネラルは剣を構えてこちらに向かってくる。
<風刃>
その声と共に風の刃がゴブリンジェネラルに飛んでいく、だがその刃も首に当たると瞬く間に消散する。
「ごめんルイ!遅くなった!」
セリアは大きな声で俺に届くように叫ぶ。
え?セリア?なんでここに…俺を囮にして逃げたんじゃ…
「1度逃げた私が信用出来ないもの分かってる!…だけど…もう1度私を信じてください!!」
…はは、飼い主が飼い犬に信じてくださいって、何とも可笑しなご主人様だな。
風刃ウィンドカッターを当てられたゴブリンジェネラルは青筋を立ててセリアの方に顔を向けようとする。
その首に向かって変速をかけ、強制的に俺の方に顔を向かせる。
お前の相手は俺だろ?その汚ぇ顔で俺のご主人様を見んじゃねぇよ。




