23話
「へぇーサバナさんって海出身なんだ。結構イメージとピッタリかも?」
「ははっ、よく言われるよ。」
セリアとサバナが仲良く談笑する。
昇格試験の移動中俺達は和気藹々と談笑していた。
いやまぁ緊張感持てってのも分かるけどさ…本番前から緊張感持つと疲れるから肩の力抜くのも大事だよな。
「セリアちゃんは出身どこなの?エルフだからやっぱりアルスヘイム出身とか?」
また知らない単語が出てきた。アルスヘイムはエルフの国なのか?分からん!
「あー…まぁそんなとこです。」
少しだけ、ほんの少しだけ顔を曇らせて無理に笑顔を作りながら曖昧に頷く。
残念ながら俺達は気付くことはなかった。
「へーやっぱりそうなんだ!いいなぁエルフ族、美男美女ばっかりで、私もエルフが良かったぁ!」
サバナはそう言いながら、うんと伸びをしてビキニアーマーで強調させている大きな胸をつっぱらせる。
ふむ…Fだな俺の眼がそう言っている。そんなくだらないことを考えていると。
「そろそろ着きますよ。気を引き締めてください。」
ジアンナがそろそろ着くという旨の注意をしてくる。
その言葉を聞いた瞬間3人の空気が一気に引き締まり先程とは一転、張り詰めた空気が漂う。
「先程話した通り、私は監督役として遠くから見ているので皆さんはいつも通りゴブリンを殲滅してくれればいいです。」
なるほど、ジアンナは、遠くから俺達の動きを評価して銅級に値するかを判断するのか。
「了解です。まぁジアンナさんはウチらが危なげなく殲滅していくのをどーんと見ていてください。」
サバナは調子よく大言を口にする。
「はいはい。じゃあ頑張ってくださいね!」
ジアンナはそんな調子のいいサバナを軽くいなす様に激励の言葉を掛け、そのままあっという間に俺達が見えない場所にまで行ってしまう。その動きは確かに熟練の強者というのに値する物であった。
「…さてそれじゃあ行きますか。」
サバナはそう言い放つと俺達はサバナを先頭にして菊、セリア、俺の順番で隊列を組みゴブリン達が住処にしている洞穴にまで歩を進める。
「あれかな。あほ面のゴブリンが突っ立てるや。」
サバナが洞穴の入口近くに立っているゴブリンを見てそう言う。
…確かにぽけーっとして空を見上げながら突っ立っている…見張り役っぽいけど、あんなアホそうな奴に任せていいのか。
「…私に…任せて」
小さな声で菊が呟く。
「キクちゃんいける?無理はせんでいいからな。」
「…ん、行く。」
最後にそう呟くと、フードを深く被り直し持ち前の俊敏さを生かして見張り役のゴブリンにまで地を這うようにして疾走する。
その姿はまるで獲物を見つけた蛇のように迷いなく機敏な動きだった。
あっという間にゴブリンのそばにまで近付くと、外套の中から一振の暗器を取り出し、背後から首を切り裂く。声も上げさせないほどの早業に俺達は固唾を呑むことしか出来なかった。
「…行くよ?」
いつの間にか戻ってきていた菊が俺達にそう呟く。
「は、はいぃ。」「…うっす。」
その鮮やかな手腕をみた。セリア達は自然と菊に対して敬語のようなものを使っていた。
「…?」
その様子を不思議に思った菊は先程とは打って変わって可愛らしく首を傾げていた。




