10話
カマセルを撃退した後、俺達は武器屋に行くことにした。なんでも最近の戦闘によって、セリアの持っている短剣にガタが来たらしい。一応まだ使えるには使えるが命を預ける武器は頼りになる方がいいだろう。
「ルイ、これどうだと思う?」
陳列されている棚から短剣を持ってきて俺に見せてくる。
どれどれ?
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鉄の短剣(粗悪品)
質の悪い鉄が使われており、造りも悪いため切れ味も耐久性も一般的な短剣より一回り劣る。
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あ…だめだこりゃあ。
俺が首を横に降ると。
「ルイが言うなら他のにしようかなぁ。」
そう言って質の悪い短剣を棚に戻す。
なんか、最近俺への信頼度が高い気がする。
先程のカマセルとの諍いも、俺への侮辱をセリアが窘める形でヒートアップしていた。
もしかしたら、俺が聖獣の特徴である治癒魔法を使えることが信頼度を増やしている要因かもしれない。
「これはどうだと思う?」
セリアは再び似たような短剣を俺にみせる。
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鉄の短剣(優良品)
質のいい鉄を使っており、造りも精巧なため切れ味や耐久性が一般的な短剣より一回り優れる。
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お!結構いいんじゃないか?これで同じ値段なら絶対こっちの方がいい。
俺は首をそこはかとなく激しめに縦に振る。
「よし!ならこれ買おうかな。ありがとね!」
やっぱり礼を言われるって嬉しくなるよね。
俺も子供の時はよく褒められていたなぁ…大人になるに比例して褒められることも少なくなっていったが。
早速短剣をこの店の受付に持っていく。
「すいません!この短剣ください。」
「はいはい。…ほう?お嬢ちゃん見る目あるじゃねぇか。」
そう言う男は武器屋には似合わないガリガリでメガネをかけているインテリ系ぽい男性たった。
「えへへ。実はこの子が選んでくれたんですよ!」
俺を見ながら自慢するような声色で言う。
「へぇこの犬がねぇ。確かに賢そうな顔はしてやがるな。じゃあ代金はきちんと貰うぜ。」
「はい!」
心なしか嬉しそうな顔をしながら懐から銀貨3枚を手渡す。
「そうだ。オマケにこの研石つけといてやるよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「おう。また次来てくれや、まぁ生きてたらの話だがな。ガハハ」
おぅふ。最後にめちゃめちゃ不謹慎なこと言ってきやがった。
セリアの顔をみると満足そうに短剣と研石を抱えていた。
「ん?どうしたの?ルイ。」
なんでもないと首を横に振る。
あんな不謹慎なこと言われても顔色を微塵も変えないとは、やはりこの世界の生死感は軽いのだろうか?
そんなことを考えながら歩いていると。
「きゃっ」
セリアと正装の男性とがぶつかる。
「おっとすまない。今は急いでいるんだ失礼するよ。」
そう言うと慌てた様子で走り去る。
「なんだろお腹痛かったのかな?」
セリアは明らかに的はずれな感想を呟く。
絶対にそれは無いな。それにしても凄い急いでいたな。
…何か嫌な予感がする。
「そうだ。ルイ!今度は私のお気に入りのお店連れてってあげる。」
お!行きたい!
「じゃあ行こっか!」
一瞬抱いた不安感は食欲によって塗りつぶされた。




