1話
綺麗な夜景はたくさんの社畜によって築かれている。
そんな言葉が生まれる程、社畜という人種が腐るほどいるこの世の中。
俺こと、田中 聖也 32歳 独身 も例外ではなかった。
最近、流行した感染症による不景気、近年稀にみる円安も重なってか、しがないサラリーマンである俺もこの影響をもろに受け会社をクビなった。
もうクビなった会社を背に俺は決意する。
自殺しよう
もう生きる気力が湧かない。
その時はもはや死が救いに思えた。
死を決意した人間が行動へ移すのは早い。
親は5年前に交通事故によって死に。友達も社会人になってから連絡をとらなくなり、
自然と関係も消滅していった。思い残すこともない。
ホームセンターで買った縄を片手に帰路につく。
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天井から吊るした縄を目に少し手が震える。
この縄を首にかけ、椅子を蹴れば楽になれる。このクソみたいな人生にもやっと幕をとじれる。そう考えると不思議と震えもおさまってきた。
首に縄をかけ椅子をける。こうして1人の人生が幕を閉じた。
…はずだった。
目の前には神聖なオーラを醸し立つ爺さんが立っていた。
あたりを見渡しても何も無い真っ白な空間だけが広がっている。
「いや~最近多いのう、こうやって自殺するやつが、せっかくこの世に生を受けたのに自分でその命を散らすなんぞ具の骨頂であるぞ。」
あの…ここはどこですか?
「ここは生と死の狭間、いわゆる天国か地獄かで分けられる場所じゃ。」
俺は地獄に行くんですか?
「まぁ自殺した奴は例外なく地獄いきじゃが、お前の魂の色が少々異質でのう、例外的じゃが、お前は異世界でもう一度生を受けてもらう。まぁ畜生としてだがな。」
…マジすか?
「ちなみに次の生で善行ポイントというものを100万貯めないとその来世では虫じゃからな。目指せ善行ポイント100万!!じゃ。」
ファッ!?
「そういう訳じゃから、次はきちんと生をまっとうするように。では行ってこい!」
ちょ、ちょっとまっ
直後視界が暗転し意識が闇に落ちていく。
そして…
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「ワンっ!!」
俺は犬になった。