緊張
おれは今日、神の啓示をうけた、いやおれは天才だったのかもしれない、天野川 青空とおれの力量差の原因は何なのかと考えたときにひらめいてしまったのだ、おれはこの異世界で好敵手という役割が与えられている、潜在的には天野川 青空と同程度の力をもっているはずだ。
では違いは何かそれはこの異世界での信仰度の差だ。この異世界では信仰度が力に変わるのではないかと考えれば納得がいく、平たくいえば、好かれているほど力が増すということだ。
以前、奴の弱点をさがすために、新聞部に扮し、学校中の生徒に天野川 青空について、の聞き込み調査をおこなっていた。
「完璧超人そのものだよ」
「美人で頭もよくて運動もできて、でも不思議と浮いた話きかないのよね」
「あの黒髪、クンカクンカしたいお」
「アニメとかでみる、光るフケが実際に出てる感じだよな」
ほとんどが奴をほめそやすようなものばかりだった、なかには神聖視しているような輩さえいた、本性を知ったら驚くにちがいない、一部ネガティブな意見としては近寄りがたいなどがあったが突出しすぎた能力をもっているので無理もない
ついでに、おれの評判も聞いたのだ、
「全校生徒のあこがれの的である、天野川 青空さんのストーカーでしょ、生徒会で毎日、顔合わせないといけないとか不憫でしかたない」
「ああ、校内を半裸で歩きまわってた変態ね」
「おれ、見ちゃったんだよね、中庭の草をたべてるところ、さすがに引いたわ」
「たまに腐った牛乳のにおいがするって友達にきいた」
おれ、こんな風にみられてんのか、傷ついて調査をやめかけるほどだった、それくらい良い評判がなかったのだ。最底辺といってもいい、これ以上下がりようがない
だから、奴の足を引っ張ることにしたのだ、雑魚、個人としてではなく、生徒会執行部の雑魚が犯罪にならないぎりぎりの迷惑行為をする、それを指示したのは生徒会長であると明言せずにほのめかす程度にとどめる、そうすれば部下を使って悪事を働かせ、自分は安全なところにいる卑怯者という汚名を着せることができる、俺はこれ以上評判がさがりようないのでダメージはゼロだ、生徒会長である奴のみにダメージが行くという寸法だ、信仰度が下がった奴をおれが叩きのめすのだ、あまりに完璧な作戦だ、天野川 青空 破れたり!!
手始めにまずは、剣道部にでも乗り込んでやろうか、おれは勢いよく、剣道場へと乗り込んだ、「おれは、生徒会執行部の雑魚である、名前は出せないがある方の命によって、
道場破りに来た、この決闘を断ると貴様ら剣道部の活動予算が削られることになるぞ、
そして負けた場合も削られることになる、もう一度言おう、おれは生徒会執行部の雑魚だ
貴様らは私の上司を怒らせたらしいな、そう生徒会執行部である俺の上司だ、おっとわかるな、これはその方の指示だいいか名前は絶対いえないがな、俺の上司は、臆病ものでな、一つ貴様らにヒントをやろう、部活動の予算を決定する機関は生徒会なのだ、フハハハ」
実際には、道場破りなどする気がないので、適当に負ける、
「今日は、この辺で勘弁してやろう、だがこれで終わると思うなよ、明日も来る、生徒会のおれの上司の命によって」
剣道部員たちは何事かと首をかしげていた、これだけヒントをだせば、生徒会長が裏で糸を引いていると思ってくれるだろう
これをいろいろな、部活動で数日間繰り返した、これで完璧だ、奴の信仰度は地に落ちたはずだ、今日こそ奴を…待っていろよ!天野川 青空
天野川 青空が休み時間の教室で、次の授業の準備をしているとめずらしく、クラスメイトに話しかけられた、
「天野川さんちょっと今、お時間いいですか?」彼女はたしか女子剣道部の部長である
「ええ、大丈夫ですけど」
「生徒会の一年生で、えーたしか…」
「雑魚君?」
「あっ!はい雑魚君がですね、三日ほど前から天野川さんの指示で道場破りに来たっていって、剣道部に来るんですけどそんな指示してないですよね、予算を削るとかどうとかも」
「ええ…そんな指示は」あのバカ!!またわけわからんこと、ここ何日か来ないと思ったら…
「そうですよね、よかった、いや、部員、全員信じてなかったんですけど、一応念のために確認しておこうと思いまして」
「生徒会の者がご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません」軽く頭を下げ、謝罪する
「あっ!いや、謝罪してほしいとかではなくてですね あっ!!ほら雑魚君って面白い人ですよね」
「そうですね、少々変わり者ではありますけど、悪い人ではありません、生徒会の仕事も熱心にやってますし」少々どころじゃねーけどな本当は、あれは病気よ、病気
「そうなんですよね、道場破りに来たと思ったらすぐに帰って、かたづけの時間にまた、現れて、一緒にかたづけはじめるんですよ、少しの時間とはいえ、道場を使ったのだから俺も手伝ってやるとか言ってですね」
「…そうですか」頭痛くなってきた…
「それに男子部員とはすぐに打ち解けて、なんか楽しそうにやってました、部員の間ではですね、新手の体験入部なんじゃないかなんて噂になっているんですよ」
「重ね重ねうちの者がすみません」
「いやだから謝罪は、最初はすこし戸惑いましたけど、別に迷惑かけられたわけではないので、というか天野川さんと話すきっかけになると思っただけです」
「そ、そうですか」
「急に思うかもしれませんが、今日の昼食一緒にどうですか?」
「へっ?あ~今日は心の準備じゃなくて用事があるので…」同年代の子って何話せばいいかわからないから緊張するのよね
「それでは、明日は!!」
「あ、明日ならだいじょうぶです…」
「そうですか、なら明日ですね、楽しみにしてます」
「あっ!あとやはり、ご迷惑をおかけしたことは確かですので、本人に謝罪に行かせます」
「はい、わかりました、それでは」と自分の机に戻っていった
しかしこれだけで終わらず、同じ話を数人の生徒からもされ、謝罪の約束と昼食の約束を同じ数してしまった
「はぁ~疲れた…」あのバカ絶対にゆるさんぞ
この物語は、すべて彼の勘違いからできていた、もちろん今回のお話もだ、もう一度言っておこう…この世界は異世界でもなんでもなく現実世界だ…