現状把握(事実誤認)
天野川 青空との初対決から、一週間ほど経過した、放課後おれは一人教室でこの異世界の現状把握をしていた。
おれはどうやら、この世界では雑魚という名前らしい、クラスメイトからは圧倒的なオーラを有しているからか一度も声をかけられていないが、教師に雑魚という名前で呼ばれていることから、間違いない事実だ、それにしてもひどすぎないか…この名前…
念のために言っておくが、本当にいじめられているわけじゃない
容姿は、もといた世界とほとんど変わらないが、先日の身体測定で5㎝も身長が違ったのでまず間違いなく、異世界に転生したのだろう
文明、文化は元居た世界と変わらない、というかパラレルワールドなんじゃないかとも思うが、5㎝も身長が違うしな… パラレルワールドも広義の意味では異世界なはずだ、そこはどうでもいい。
この世界の連中は、なぞの呪文を唱えている、魔法のある世界なのかと思ったがどうやらそうではないらしい… この世界での授業で理解できるのは国語だけだった、ほかの授業では謎の詠唱を行っているので魔法文明なのかと推測したのだが
まぁいろいろ元居た世界と、符号する点は多いがこの一点だけで、異世界であると断言できる、それは天野川 青空の存在だ 奴は現実世界では考えられないほどの力を持っていた、
真空波が出せる女子高生がいてたまるものか。
この現状把握において、もっとも重要なのが天野川 青空との戦力差である、やつはライバルではあるが、勝算がほとんどないといっても過言ではないほど強大だ、どうすれば奴に勝てるのかまったくわからない…
天野川 青空は世界中のエリートがあつまるこの高校においても、すべての勉学、運動で圧倒的な成績らしい、やつは三年連続で生徒会長を務めている、おれの二学年うえで、三年の特進クラスに在籍している
そうだ、この高校は成績順で特進、A~Fのとなっている そう考えると疑問が湧いてくる、なぜおれは生徒会執行部にえらばれたのだろうかと…俺のクラスは1-Fだ
うちのクラスの担任に聞いてみたが、知らないらしいまぁ別にこんなことは些末なことなので、無視しよう。
戦力差といえば、自身の能力は、元居た世界とほとんど変わらなかった、この世界において、おれは天野川 青空のライバルのはずだ、自身の能力を向上させてやつをたおせということなのだろうか… 前回の戦いで俺と奴はひきわけたらしい、しかしおれにはその自覚がまったくない…秘められた能力を有している証拠だ、これを自身でコントロールできればおそらく勝算もみいだせるのではないか!! そうか何も心配いらないじゃないか
今日から、生徒会が活動をするらしい、つまり我が好敵手との二度目の邂逅である、「クククッ待っていろよ、おれが貴様を屈服させてやる」
こうして、現状把握という名の事実誤認がおこなわれた、なぜこのようなことが起こってしまったのだろうかそれは、自己の評価を完全に見誤っていたからである…
彼はどこにでもいる普通の高校生などではない、極大級の大馬鹿野郎だったのだ!!
そもそもの前提がまちがっていたのだ、どう計算してもまちがった解しか導き出せるわけがなかった…
正しい現状把握をしよう、彼は本来入学できるはずもないエリート高校に入学しその中でも優秀な生徒が入れる生徒会に任命されたことから、異世界に転生(そもそも異世界転生の定義すら間違える始末だった)してしまったと思い込んでいたそして、先日、天野川 青空と名乗った少女のことを打倒すべき好敵手であると思い込んでしまったのである。