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初対決

ぼく、いや,おれの正面に立っていた存在は黒髪ロングのクール系美少女だった、スラっと伸びた長い手足、出るところは出て、引っ込むところはひっこんでいる、先輩系二次元美少女のテンプレそのものだったが、圧倒的な実在感がある、これは夢ではなく…ここはやはり異世界か?


 転生前のおれなら速攻告白して速攻ふられるまでシュミレーションできるような、完全ど真ん中のドストライクの美少女だったが、この世界での役割を思い出し、「オンナ、名をなのれ」とキザなライバルキャラのテンプレを必死に演出してみた 周りがざわつく

 

 ため息をつきながら、静かに透き通るような声で「人の名前を聞くときは、まず自分から名乗りなさいと学校で教わらなかったの?」とこちらの期待に応えるようなテンプレで返答してきた

 

 「黙れ、ミジンコ」と精一杯の低い声で言い放つと、オンナの眉がぴくっと反応した、と同時に最前列に座っている女子生徒の一人が貧血でたおれた 多分偶然だろうがかっこいいセリフを思いついた

 

 「殺気も隠せないようではたかが知れている…」少し間をおいてから

「貴様と同等、いや上位の存在を目にするのは初めてか」顎を上げらながら挑発するように言い放った

 

 先ほどまでのざわつきがぴたりと止んだ


 「あなたふざけているの」さきほどより少し語気が強まる、

こちらが「真剣だ」というのにかぶせて、

超早口で「そう、なら決闘しましょう、勝負の方法は?真剣での決闘ね わかったわ、でもさすがに殺してしまってはわたしの寝覚めが悪いので竹刀での決闘でいいかしら」  こちらの返答を予測しての対応か… なかなかやるではないか


「くッくっくっ、話が早くて助かるぞ!!さすが我がライバルだ!!」 すると手際よく竹刀が二本投げ込まれる、

オンナは竹刀を右手で拾い上げた「あなたは使わないの?」

「ふっ…ハンデをくれてやる」 

「そう」というのと同時に竹刀を真横に薙ぎ払った


するとおれの頬から血が流れる… 真空波か…

えっーーー!!マジか…!!これと内心ビビりまくったが態度にださないように

「ほう…今の一撃が貴様の最後のチャンスだったのにな」


「こちらがその気ならもう百万回殺しているわ」 

「貴様知らんのか…能ある鷹は詰襟の制服を着ているという格言を」 

「…知らないわ」


竹刀で真空波を飛ばすような女は現実にはいない…やはりここは異世界 確信に変わった うひょー!!やったぜ!! いかんいかん、この世界での役割を忘れるなと自分を戒める


会話をしながら俺は考える、やつが真空波をとばせるなら、こちらも同程度の力をもっているはずだ、好敵手という役割があたえられた、おれには

 

 おれは姿勢を低く取り距離をつめようとした瞬間、顔面にものすごい衝撃をうけ地面に後頭部を打ち付け、たおれていた、

するとオンナが「私は超銀河大付属高等学校生徒会長 天野川あまのがわ 青空そらよ」こちらを指さした、

「雑魚が」とその可憐な容姿に、につかわしくないまるで呪詛がこもったような低い声で言うと、なぜか天野川 青空と名乗った彼女も前のめりに昏倒した、おれも意識をうしなった。


 この顛末をみた第三者(一般人視点、ヤムチャ視点ともいう)は、ダブルノックアウトつまり引き分けにみえるが実際には全く互角などではなかった、大きさで例えるなら銀河と雑魚くらいの違いがあった この状況をすべて理解しているのは天野川 青空だけだったので少し時間を巻き戻し彼女の視点から語ろう


 彼女は風邪をひいていた、だるいなー、と思い正面にいる男をまったく脅威に感じていなかった「百万回殺せる」これは大げさ表現ではなかったそれほど実力差があった、だから早く終わらせようと衝撃波による攻撃で相手を昏倒させようと竹刀を振るった、万全の状態の彼女ならばそれで終わっていただろう、


しかし彼女は風邪を引いていた「くしゅん」とてもかわいらしいくしゃみをした、そのせいで力加減をまちがえてしまった

とっさに男に直接衝撃波をあてずに後ろの壁にはなった 直接当てたら間違いなく絶命していただろう、そこで安心してしまった、万全の状態の彼女ならそんな失態はしなかっただろう、しかし彼女はしつこいようだが風邪を引いていた、後ろの壁から跳ね返り威力が弱まった衝撃波が男の背中に当たり、こちらに向かって飛んできていた、しつこいようだが彼女は風邪をひいていたのだ、本来なら間違いなく対処できたはずだった、先ほど投げ込まれて、地面にころがっていた竹刀が男同様にこちらに向かって飛んできていた、彼女の顎先チンにあたり、ほんの一瞬脳が揺らされたのだ、それが命取りだった


 男の股間チンが彼女の顔面にクリーンヒットした、もちろん物理的なダメージは皆無といってもよかったが思春期の彼女にとって、ズボン越しとはいえ精神的なダメージは、はかりしれないものだった、生まれて初めての屈辱に、彼女は久しぶりに切れちまっていた、相手の顔面を手加減なく殴りぬいてしまった、殴ってからきづいた、「やばっっ!!」顔面がぐちゃぐちゃになって絶命していてもおかしくなかった、だが男は意識がまだ残っていて視線が交差したのだ、この男何者!?

 

なぜか自分のなまえを名乗っていた、そしてさきほど顔面で受けた、感触を思い出し、たおれそうになる、しかし簡単に倒れてやるものか、こちらは精神攻撃を受けたのだから、お返しをしてやろうと思い、股間を指さし、呪詛をこめてこう言ってやった「雑魚が」そして、意識を失った

 

 さきほど、すべての状況を理解しているのは天野川 青空だけといったがそれは少し間違いだ、生まれて初めての屈辱に、彼女は無意識のうちにある呪い(ギアス)を、広範囲に発現させていた、異能、魔術の類ではなく、純粋な意志の力のみで、そのせいでこの物語を少々いや、かなりややこしくしてしまっていた、このことを彼らが知るのはしばらく後のことだ

 

 見方を変えれば、好敵手の出現によって、新たな能力に目覚めたともとれなくない、その能力とは…


 第一印象固定ファーストインプレッション・ロックの呪いである、この世界は異世界でもなんでもなく現実世界だ…


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