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過去――異世界にて

同人活動を再会するために再出発をきりました。

挿絵(By みてみん)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

フリー素材提供元:ぐったりにゃんこ様

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

空は曇りである。

全てが曇りである。灰色に。大空を全域に染めている。

数日前までは晴天だったはずだった。

 線路が複数に張り巡らされている。無数にある線路は鉱山にある大きな迷彩色の駅へと集中している。軍用のターミナル駅。そこへ列車砲を搭載した3両編成の軍用列車がひし形パンタグラフ――列車の頭上にある幾つかのアンテナ状の集電用装置に架線――電線より電気が送られて常時充電しながら走る。

 各軍用列車には多くの避難民が乗っている。軍用列車最後方の車両に設置された長い砲台が追ってくる「巨大な生物」に対して砲撃をかます。

挿絵(By みてみん)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

フリー素材提供元:lud.sakura.ne.jp/info.shtml様

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 彼らには通じない。

 彼らは何かなのか電車に乗車する異形の人型――「妖怪」たちには分からない。妖怪。基本的に人型であり、ツノが生えていたり、尻尾があったり、羽があったり、目の色も頭髪の色も肌の色もカラフルすぎる。彼らが支配下に置く人間界の住民より人種が多種様々すぎる。彼らの衣類は人間界の住民である人類と同じである。避難民は人間界の人類と同様、洋服だったり和服だったりと着ている。

「おい!! 鉄道保安官さん!! あの化け物どもに効いているのかよ!!」

 赤い肌で身長2メートルはある人種「鬼」のスーツの男が青い軍服の男――鼻が長く翼が背中から生えた人種「天狗」にの襟首を掴む。

「いえ……。決して撃破できていないわけではありません……」

 この軍用列車で避難民を見守るために配置されている鉄道保安官はなんとか焦りながらも声を振り絞り答える。全長10メートルはある木の巨大生物たちは何体かは撃破できた。しかし奴らは無尽蔵に湧いて出てくる。

 人間界の人類にとってこの異世界「冥界」は危機的状況であった。第1次妖怪大戦では引き分けになりながらも第2次妖怪大戦では妖怪たちは人間界を完全に征服した。これにより彼らの富は巨万となったからだ。

 しかし今はその状況ではない。

 軍用列車のどれかが背後から木の巨大な化け物に襲われる。最後方の列車砲は破壊される。砲弾を撃てずじまい、そして木の巨大な化け物は同じ化け物たちが乗る列車を拿捕してニタニタと嘲笑する。列車の中から悲鳴が上がる。

 同じ化け物たちが騒ぐ。喚く。慟哭と畏怖だけが各軍用列車を包み込む。

 拿捕されたのは他にもある。中には軍用列車が木の巨大な化け物に踏み潰されて破砕されるのもある。

 どれもこれも不幸な末路をたどる。

 迷彩柄の軍用ターミナル駅のホームから見る1人の少女がいる。緑色の肌を露わにした。人間界の日本の戦国時代に出てきそうなクノイチの格好をした少女が。少女の肌は褐色である。銀髪で耳が二等辺三角形状に尖っている。

挿絵(By みてみん)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

線画委託先:瀬戸田さま

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「妖怪たちの最大の楽園――首都≪伏魔殿≫(パンデモニウム)が陥落って信じられるゼヨ? 600万年も栄華を誇った妖怪連邦国家――結界鉄道都市同盟がこうも簡単に……」

 褐色肌の妖怪の少女はもう現実が理解できなさすぎて涙を流しながら笑ってしまう。≪伏魔殿≫だけではない冥界各地の市町村があの木の化け物どもによって滅んでいったのだ。この軍用ターミナル駅も安全ではない。

 少女の背中に野太い声が届く。青いシートに覆われている全長10メートル近くはあるだろう。しかし青いシートのせいで中身が確認できない。恐らく巨人のような人種の妖怪なのだろう。

「き、希望を捨ててもうたらダメでごわすよ……。おいどんは……まだまだ戦える……。あいつらに……オジを………。戦友を……。奪われたでごわす……」

「お父さんの命を奪われたのは同じゼヨ……。あちきはね……。こうなるなって思ってなかったゼヨ……」

 少女は泣きながら眺める。未来永劫のように繁栄し続けた冥界の平和があの木の巨大な化け物どもによって粉々破壊されていくのを。

 このホームに2個の軍用列車が入ってくる。指定した番号の乗り降りの地点を無視して軍用列車は停車する。そして自動扉が開き、中から避難してきた異形の住民たちが一目散へと逃げだす。この軍用のターミナル駅すらももう危ういということは彼らも知っている。彼らが目指す先には「人間界行き」と書かれたホームである。鉄のヘルメットをかぶった青い軍服の鉄道保安官――顔が犬の妖怪――人種は「コボルト」。急いで少女に話しかけてきた。

「君ら!! 早く人間界行きへ乗らないとあいつらがここへと殺到するよ!!」

「現場二等保安正殿……。堪忍してつかんさい……。今、直ぐに向かいますゆえ」

 現場二等保安正――鉄道保安官で最下位の階級である彼は少女の胸元につけられてある徽章を見て自分より上官であることを驚く。即座にタメ口で話したことを詫びる。

「現場二等保安正殿……。この青いシートで覆われている方は遥かにお偉い方ゼヨ……。人種ダイダラボッチでも運べそうなくらいな担架を用意し、早々に運ぶゼヨ」

「副長一等保安正殿!! 了承いたしました!! 直ちに巨人クラスの担架を用意してきます!!」

 人種コボルトの最下位の鉄道保安官は准尉クラスの上官の命令に従い、離れていく。青いシートに包まれた巨大な妖怪は少女に辞めさせるように言う。

「おい!! おいどんをここに捨て置け!! あいつらに身動きもできないくらいボロボロにされたんだっけん!! 重要なのは動ける者を何人でも人間界へと逃げさせて生き延びさせるんでごわす!! おいどんの父親はただの金持ちで政府の要職についていただけたい!! 気にせんでいい!!」

挿絵(By みてみん)

三等幕佐(さんとうばくさ)殿……あちきに一任してくだせぇ……。幕佐ばくさ殿をみんなの希望になってもらうゼヨ!! 冥界を救う英雄に……」

 木の巨大な化け物どもは残りの軍用列車を全て動けなくした。中にいた乗員乗客がどうなったのかは知らない。ただ、彼らの口元に黄色い果実の中身のようなものがこびりついてた。

 化け物である少女は敵対する化け物どもに復讐を誓うのだった。




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