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クエストエスト  作者: 焼き鳥うどん
第一章 パーティ作ってみます
2/2

1-1 不思議な人と出会いました

ギルド生活一日目・夜


夜になると昼は騒がしかった街は嘘のように静かになり人通りも穏やかになっていた。

多分この街の目玉である屋台の殆どが閉店したからだろう


「…」


そんな中私は相変わらず途方に暮れていた。あれからなんの進展もなくただ無心で街をふらふらと彷徨い続けた。あわよくば財布を掏った男を見つけて取り返せたらと思っていたが結局あの男を見つけることはできず私の所持金はゼロのままだ

朝から飲まず食わずのせいかお腹はともかく喉がもう限界だ。店に行けば水ぐらいあるだろうがそもそも水は無料で貰えるものなの?

このまま飲まず食わず本当に死んでしまうし無理を承知で水を貰えるようお願いしに行くべきか…だがきっと水を飲む為だけに店に入ったら嫌な顔されるだろう。この街に三年世話になる以上なるべく悪い印象は与えたくないのだが…


「っ!?」

「あぅ!?」


そんなこんな考え事をしていたら人とぶつかってしまった。頭と頭がぶつかってしまいお互いその場で頭を抱えて蹲る。

…多分考え事をしてきちんと前を向いていなかった私の不注意だろう。私は頭に手を当てながらも目の前の人に謝罪を


「ごめんなさい!!大丈夫!?怪我してない!?頭割れてない!?意識はある!?たんこぶとかできてない!?」


しようと口を開きかけたが女性の物凄い勢いと剣幕に負け私は謝罪はおろか身体を動かすことすらできなかった。

…どうやら目の前の女性はエルフのようだ。首元まで伸びた茶色の髪の隙間から見えるエルフ特有の尖った耳がその証拠。エルフという種族は男女問わず外見は端麗で目の前の女性もとても美しい…というか可愛い。サファイアのような蒼い瞳が印象的だ。だがエルフは知性的で物静かな人が多いと聞いていたがこの人は多分例外だろう

一言も謝りもせずに去っていったあの男にはむかついたけど、この人はこの人で多分私の苦手なタイプだ

こういうタイプの人とは関わらないが吉だ。さっさと謝って去ろう


「いや…あの…大丈夫ですので…私も…ぶつかってしまってすみませんで」

「そうだ!治療するから私の家に行こう!!ここからそんなに遠くないから!!ねっ!!」


駄目だこの人私の話聞いてくれない。


「あの、怪我もしてないですから別に平気で」

「ほらほらこっちこっち!!」


私の話など一向に聞いてくれる気配もなく女性は私の腕を掴むとそのまま歩き出した。腕を振り払おうとするも私の力が弱いのか向こうが強いのかビクともしない。

…どうしよう、このままでは全く知らない人の家に連れていかれてしまう。師匠以外の家に入ったことのない私にとってそれは戦場送りにされること以上に恐怖だ。女性の家に入ってしまったら私は緊張のあまり固まってしまうかもしれない

それにもしこの女性が誘拐目的の悪い人だったら?…いや、その場合だったら遠慮なく魔法でどうすることも出来る。だがこの人が純粋に私を心配して家に連れていっているのだとしたら、そんな人を魔法でぶっ飛ばすなんて事私には出来ない


「そうだ、貴方お名前は?私はフィフィ、見ての通りエルフだよ!」


そんな私の悩みを知るはずもなく女性はハキハキとした表情で尋ねてくる。別に名乗らない理由もなかった私は


「……エストです」


と消え入りそうな声で答えた


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