ヒマワリ、間違える。
「あんたが学年一位ね」
「違う。おれはそんなに良い能力は持ってねぇ。誰かにズルされて一位におだてあげられただけだ。」
「つべこべ言わずにとっとと勝負するわよ!」
……この状況を知らない人から見れば、おれが女の子に迫られてる、告白されてるように見えるかもな。しかも中々な美人だしな。
しかし状況が状況である。本当におれの能力はちっぽけなもんだ。それにヒマワリはテスト十一位だぜ?(おれもさっき知った。)下手したらおれ、し、死ぬぅぅぅ。
「ちょっと待ってくれ!この話は本当だ!」
「うるさい。こないなら私からいくわよ?」
そう言うとヒマワリはおれの懐に入り込んで、おれを思いっきり殴り飛ばした。こ、これは本当に死ぬ。ダメだ。こいつ、力強すぎだ…。
そう言いながらおれは、茹でたほうれん草のように地面に寝転がった。
ーーーーここは…。なんて当たり前なリアクションをしながらおれは目を覚ました。雰囲気からみて天国ではないらしい。ここは病院だ、と言わんばかりに後ろでピコピコ機械が鳴っている。
本当に今日は散々な1日だった。能力テストで誰かにハメられるし、変な女に追いかけられて殺されかけた。しかも超急展開。まるでジェットコースターだぜ。
ガタッ!と音を立ててドアが開いた、と思った瞬間ドアからケッタイな女が現れやがった。
「あんた、弱いのね…」
こいつ、怪我さしといてなに言ってやがる。
「うるせぇ。だから言ったじゃねーか。おれは弱いって。」
「謙遜してるのかと思っちゃったのよ。んで不意打ち気味に一発能力で殴ったわけ。そしたらあんた一発でのびちゃって。さすがにこれは私が悪いと思って病院に連れてきたの。ところで、私の能力を受けてみて感想は?」
こいつ、あんまり気にしてないな…なんて可哀そうなんだ、おれ。
「とりあえず、人体には嬉しくない能力だってことはよくわかったよ。力が倍増するとか、体を鍛えなくてもムキムキになれる能力とか、そんな感じの能力かなにかだろ?」
「違うわよ!そんなボディビルダーみたいな能力じゃないわ!私の能力は空気を操る能力!さっきのは、空気を圧縮して硬くしたものをあなたにぶつけたのよ!」
「あぁそうかい。空気ねぇ。ま、俺のよりは使えそうだな。俺なんか、人の特性、性質を奪えるだけだぜ?じめんタイプのやつの性質を奪って、でんきタイプの技を無効化させないとか、そんな微妙な能力、どこの学校が第一位判定するんだ。」
「……本当に一位じゃないのね。それは悪かったわね。明日には普通に退院できるだろうし……、このお詫びはまた明後日にするわ。」
「そうか。じゃあまだ明後日だな。じゃあな、俺は寝る。」
そう言って俺は無意識下の記憶の整理に入った。