能力テスト
次の日、中等部では能力テストなるものを受けた。このテストを基準に順番に強さのランキングをつけていくらしい。もっとも、おれの小学校からの知り合いでそんなケッタイな能力を持っている奴はいなかったが。おれもそんなに強くないからな。
そんな梅雨の空のようにブルーなおれの気分とは裏腹に、ヒマワリは親の仇を見つけたかのような力強い目をしていた。そういえばヒマワリに喧嘩を売ったなんて奴はまだ現れてないな。能力テスト次第では、ヒマワリがおれより弱い、なんてことも十分ありえる話である。まぁ能力テストの結果が出ればまた何か起きるだろう。せいぜいおれなんて下から数えてわずか数秒で見つかるような順位に決まってるさ。
ーーーーおい、これは何の冗談だ?おれが一位…?
本当におれの能力なんてちっぽけなもんだぞ!小学校でも下から二十番以内に常に入ってるようなレベルだ。しかも能力育成の名門、緑一野学園で一位…。いったいどいつの陰謀だ?
いたっ!誰かがぶつかってきた。今日は厄日か?不幸の連続はまだまだ続く。
「この一位って、まさかあんた?」
……逃げろ!
「ちょーーっとツラ貸してくれないかしら。」
わかるだろ、ヒマワリだ。どうやら最初の獲物は学年一位と決めていたらしい。
「あんた、わたしと喧嘩しなさい!」
今思う。この場でおれの方を見てニヤついてる奴を探していれば、中等部人生かけて犯人を探す必要なんてなかった、と。
「誰かの陰謀だ!離してくれよ!」
そんなこと、耳を通り抜けるどころか耳にすら入らないヒマワリは、おれを引っ張って校舎の裏庭へと向かう。