ヒマワリ登場
人間の脳は不思議だ。あんなに小さいのに100年分の記憶ができて、なおかつ様々な処理を素早く行う。人間の発明ってのは脳のおかげ、脳さまさま、脳様バンザイ!なわけだが、今度はそんな脳様のこんな能力が発見された。
「脳のツボに針を刺すと、不思議な力に目覚める」
今聞くと、なんだかうさんくさい気がしなくもないが、なにしろおれの時代、2130年には証明されちまってる。なんでも針を刺すことによって脳が大きくなり、自分以外のものに干渉できるらしい。
おれが自分の脳に針を刺されたのは、おれが6つの時だ。日本政府がケッタイな法律(小学校入学時に針を刺さないといけない)を作ったせいで、おれは小坊の頃から針に人生を振り回されている。
そんな不思議な力と出会って6年経つわけだが、その頃になると、やはり自分の力を試してみたい、自分の力で相手を倒したい、なんて思うわけで、特に深くも考えずおれは、能力を育成する学校「緑一野学園中等部」に入学した。……このころのおれは何を考えてんだろうか。なぁんてな、なかなか楽しいところさ。
「…………です。よろしく。」
「○○○○です。よろしく。」
ーーーーこうして出席番号21番のおれも自己紹介を終えた。次、また次と自己紹介を終えていくクラスメイトたち。一年間もよろしくするんだ、顔くらいは覚えなければ。と思っていたが、最後の34番のやつだけは勘弁して欲しい。
「吉田ヒマワリ、中等部でしたいことは能力での喧嘩のみ。やりたい奴からかかってきなさい。」
……な?これは勘弁だろ?こいつ、絶対おにごっこでいつまでも追いかけてくるタイプだ。
そんな気だるいことを考えつつ、おれは帰宅の途についた。
今思うと、この頃からおれの人生はレールの上から本格的に脱線してしまったきがする。だってそうだろ、家に帰りながらずっとヒマワリのことを考えていたのだから。