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残された少女

「あ・・・ああ・・」

 雫は混乱していた。目の前で人が消えた。困惑するには十分すぎるだろう。

 そしてそんな事をやった人物に雫は恐怖していた。

「怯えなくていいんだよ。すぐ楽にしてあげるから」

 風間は不気味な笑みを浮かべながら雫に近づいてくる。

 ここで言う所の『楽』の意味を雫は理解していた。死だ。この男は自分を殺して永遠の眠りに就かせようとしているのだ。

 雫は逃げようとしたが足がすくんで動かない。

「さぁ・・・大人しくしてね」

 風間は掌を雫に向けてきた。悟を消した時のように。

 雫の目には涙が溜まっていた。今にも流れ落ちそうなくらいに。

 風間はどんどん近づいてくる。

 もうだめだ。そう思って雫は目を瞑った。

 その時だった・・・

「やめてもらえない?」

 どこかで聞いた声がい聞こえた。

 雫が目をあけるとそこには相川がいた。突然現れ、雫と風間の間に立ち、風間の腕を掴んでいる。こんな状況でも無表情だ。

「何だい?相川さん」

 風間は笑みを浮かべたままだ。

「この子は私たちのお客。手出しはさせない」

「へぇ~」

「神山君もどこに飛ばしたの?」

 どこで見ていたのか分からないが、悟が消えたことは知っているようだ。

「教えると思うかい?まぁ、教えたところで助けには行けないけどね」

 風間の言葉に相川はピクッと反応し眉間にしわを寄せた。どうやらこの二人はお互いの能力を把握しているようだ。

「・・・・・」

「神山君を返してほしければ、その子を渡してくれないかな」

「それはおかしいね。私たちの目的もこの子なんですから」

 そう言うと相川は雫に抱えた。

「とりあえず、この子を助けることにする」

 その言葉を言い終わるか終らないかのうちに相川の体は足の方から消えていった。それはまるで空気に溶け込んでいくかのようだ。それは相川に抱えられている雫も同様だ。

「させるかっ」

 風間が雫たちに迫ってくる。しかし、手遅れだった。伸ばした手が届く前に雫たちの体は完全に消えた。


「ここは?」

 再び体が現れた時、そこは先ほどまでいた教室ではなかった。

「ここは仲間の秘密基地」

 相川の言葉を聞いて、雫は周りを見渡した。そこには男女合わせて五人ほどの人がいることに気付いた。

「ようこそ雫ちゃん」

 その中の女の人が声をかけてきた。長い黒髪に垂れた瞳。お姉さんタイプの美人だ。

「自己紹介は後だ。まだやるべきことがある」

 男がそう言って立ち上がった。髪の毛は癖が強そうで色んな方向に髪の毛が飛んでいる。

「やるべきこと?」

 雫は首を傾げた。

「神山悟を助けるんだ」

「助けられるの?」

 この言葉を聞いて雫の顔は明るくなった。

「ああ、かなり難しいが不可能じゃない」

「私の能力があればできる」

 そう言ったのは相川だった。



 

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