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2月4・5・6日
見わたせば春日の野辺に霞たちひらくる花は桜ばなかも(柿本人麻呂)
立春。もちろん現実の世界はまだ厳寒である。しかし、暦が春になり、心がほんのり明るくなる。春を待つ明るい気持ちがわいてくる。そんな気持ちにふさはしく日本の歌聖・柿本人麻呂の絶唱を選んでみた。美しい桜が命いつぱいに咲く日は近い。
春になるさくらの枝は何となく花なけれどもなつかしきかな(西行)
週末、来年受験する若者たちと勉強する。もがきながら未来を掴み取つていく。それが青春の姿。今はまだ花のないさみしい枝でも春には満開になる。私が出来るのはそのほんのお手伝い。頑張って!みんなから私は生きる希望をもらってゐるのです。
待ち遠の花を心にかけよとや今朝嶺こえてきさらぎの雲(正徹)
室町の大歌人正徹の歌。待ち遠しく思つてゐる花のことを心にかけよと今朝、嶺をこえて如月の雲がやつてきたと歌ふ。今日、生徒の一人が大学の医学部に合格した。春が来る。歓びの季節が。