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12月1・2・3日
澄める池の底まで照らすかがり火のまばゆきまでも憂きわが身かな(紫式部)
「源氏物語・千年の謎」試写会にお招きいただき、映像化された世界文学の最高峰に涙をとめどなく流した。今回はかなりしつかりした映像化で、古典贔屓の方々には強くおすすめしたい。スクリインの中の日本の美。
源氏をば一人となりて後に書く紫女年若く我はしからず(与謝野晶子)
今日も源氏の歌。与謝野晶子は与謝野鉄幹没後の境遇を未亡人として「源氏物語」を書いた紫式部と重ね合はせて歌つてゐる。与謝野晶子にとつて「源氏物語」は偉大な存在で生涯に三度、全訳に挑戦した。
シャンプーの香りに満ちる傘の中つぼみとはもしやこのようなもの(早川志織)
雨の土曜日。久しぶりに現代の恋歌を選んでみた。12月はクリスマスもあり、ロマンテイツクな雰囲気がかきたてられる。街にはクリスマスの電飾があふれてゐる。恋人たちの季節がやつて来た。