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9月19・20・21日
あひびきや我ら子規忌を修しゐる(加藤かけい)
古来、日本では偉大な芸術家や宗教家の亡くなつた日を忌日と称し、その人の供養、追悼と生きてゐるものたちの現世での幸福を祈つた。9月19日は正岡子規忌である。現代日本は近代の苦悩の上に成り立つてゐる。しかしその日にデエトしてゐる若者を見かけたと掲出句は歌ふ。面白い句だ。
鳥羽殿へ五六騎急ぐ野分哉(与謝蕪村)
台風12号の被害がまだ生々しいのに台風15号が近づいてきて、東海地方では100万人以上の人に避難が呼びかけられた。与謝蕪村は台風、野分をも美しく詠んだが、現実はなかなかさうもいかない。私も最低限の食糧などを買い、不安に耐えてゐる。
吹き尽くしのちは草根に秋の風(加舎白雄)
東海地方では台風が去つた後、とても優しい光が空からこぼれてゐた。しかしそんな夕暮れ、首都圏は台風の直撃を受けてゐたのである。我が国にとつて試練が続く。だが台風を過ぎた後の空が澄んでゐるやうに、よりよい国が復興されるやう私も頑張つてゐる。