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9月4・5・6日
塚も動け我が泣く声は秋の風(芭蕉)
台風12号により奈良、和歌山、三重一帯で多くの犠牲者が出た。今年は何故こんなに天災が起こるのだらうか?今、我が国も歴史の中の大きな転換点に来てゐるのかもしれない。しかし、それはそれとして大震災や台風でお亡くなりになつた方の御冥福を祈つてゐる。
或る人より寂しき事をけふ云はれ夜寝入るまで心破れつ(鈴木金二)
私は極楽とんぼだが、それでも仕事をする中でイヤな思ひをさせられることもある。掲出歌もさういふ市民の日常をさりげなく切り取つた歌である。それでも生きていくため日々過ごしていかねばならない。
群雀こゑする竹にうつる日の影こそ秋の色になりぬれ(永福門院)
落ち込んだり、動揺したりすると私がすがるのはやはり古典や文学の美しい世界のやうである。それを考えると心が安らぐ。永福門院は激動の乱世に生きられ、古典や文学をよりどころになさつた。その世界は静かな美しさに満ちてゐる。






