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4月10・11・12日

人間を深く愛する神ありてもしもの言はば我のごとけむ(釈超空)




不思議な歌である。「人間を深く愛する神ありて」といふ言い回しは本当の神は人間を愛してゐないと告発してゐるやうな感じすらする。超空は最愛の息子を硫黄島で戦死させてゐた。そしてそんな超空は人間を愛する神がゐるならば自分のやうだと歌ってゐる。最愛の息子を失つた超空はむしろそんな悲劇をもう誰にも味わわせたくないといふ大きな愛を歌つた。そのことを思ふと胸が張り裂ける。




命あらばまたも会ひ見む春なれど忍びがたくて過ぐる今日かな(後中書王)




後中書王とは醍醐帝の皇子で中務卿だつた具平親王のことである。後中書王の学識や教養は紫式部や藤原公任も一目置く程だつた。後鳥羽院も時代不同歌合の最後の方にこの歌を据えている。しかしこの歌が本当に傑作だと分かつたのは大震災の後だつた。この歌は桜を見ることが出来る命を讃えてゐる。そしてそのはかなさをも見つめてゐる。





理解より愛は生まれ我らみな黄金の鍵の言葉持つなり(窪田空穂)






日本人は言霊コトダマと言つて、言葉そのものを信仰する文明を持つてゐた。その信仰の名残と言はなくても言葉は人を生かすことも殺すことも出来る。言葉で傷つけられた人を救ふのもまた愛の言葉かも知れない。空穂は言葉を黄金の鍵と表現した。

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