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7月16・17・18日
一昨年も去年も今年も一昨日も昨日も今日もわが恋ふる君(源順)
今月も恋歌を力を入れて選んでゐるが古代の人も現代人が読んでもうならされるやうな情熱的で技巧を凝らした歌を作つてゐる。掲出歌もその一つである。是非、リズム、響きを楽しんで欲しい。千年続く恋心がここにある。
水鳥の浮き寝絶えにし波の上に思ひを尽きて燃ゆる夏虫(藤原家隆)
蛍、夏の虫は恋する心の化身とされた。秘めた恋心が燃えると考へられたのである。現代、人々は恋心を隠しもせず、夏を謳歌してゐる。しかし千年前の感動は色あせない。
荘厳のきはまるところ自ずからあふれるものは涙なりけり(平塚らいてう)
なでしこJapan優勝!女子サツカアワアルドカツプ。平塚らいてうにより女性の権利を向上させる運動が始まったが、21世紀の日本女性はつひに世界の頂点に立つたのである。感無量であり、自ずから涙があふれる。荘厳がきはまつて。