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7月13・14・15日
炎天の野の駅はるかパナマ帽若き父なれ清きまぼろし(辺見じゅん)
辺見じゆんの父は国文学者で角川書店を創業した実業家でもある角川源義である。現在、角川源義賞は国文学界のもつとも権威ある賞になつてゐる。そんな父への想ひをうたつた作品である。
白露の玉もて結へるませのうちに光さへ添ふ常夏の花(高倉院)
常夏の花とはなでしこの花のことである。白露が垣根いつぱいにおりて光輝き、その中になでしこの花が咲いてゐる。独逸にもなでしこの花が咲いてゐる。金色の花かもしれないし、銀色の花かもしれない。金色の花だとうれしいやうな気がする。
饒舌にささやきし夜の風も落ちかれの若さが厄介になる(中城ふみ子)
芥川賞最年少美少年候補者水原涼くん落選。また一から再出発。ますますの精進が必要であらう。若いのだからまだまだいくらでもチャンスがある。文学をしつかり勉強することが本道だ。期待してゐる。