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6月16・17・18日
夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものを(大伴坂上郎女)
大災害の起こつた年ではあるが6月はジユウンブライドの月でもあり、恋歌を取り上げてみやうと思つた。掲出歌は夏の野の姫百合のやうに知られぬ恋は苦しいと歌ふ。しかし、恋のよろこびや輝きも感じさせる歌である。大らかな万葉時代の恋だ。
紫の色に心はあらねども深くぞ人を思ひそめつる(醍醐帝)
心は紫色ではないけれど恋の色に染められてしまつた。日本の基礎を築いたといふ古代の伝説の帝王の恋歌である。大らかで何だか楽しい恋歌である。
筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るにはさはらざりけり(源重之)
筑波山は今の茨城県の山である。周りに人里近い山や木々の茂つた山があつても筑波山に行くやうにどんな障害があつても恋を成就させます。古代人はさう歌つた。私たちはどんな障害があつても必ず国家を再建する。