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3月25・26・27日
知るらめや霞の空をながめつつ花もにほはぬ春をなげくと(中務)
春霞はかかつてゐるけれど花は咲かないといふ歌。千年前にもそんな春があつたのだ。また恋愛の機微が重ねてある。春を待つのはかうなつたら長期戦と腹をくくつた。しかし、沈丁花が美事に香つてゐた。春は一気に来るだらう。
父母は梅を見ている我一人梅の向こうの空を見ている(沖ななも)
すぐれた歌だ。作者が梅の向かうの空に見てゐたのは春への予感なのだらうか?今日もまだちよつと寒いが天気予報では明日は春めくと言ふ。明日は新しい仕事の予定あり、ワイシャツ、ネクタイを用意する。
楽章の絶えし刹那の明るさよふるさとは春の雪解なるべし(馬場あき子)
今日、久しぶりに新しい生徒を教へた。新しい年度に向かつて希望が見えてきた。また気候も今日は春めいてきた。気象庁も当たることがあるやうだ。私の折々の歌ももうすぐ一年。残りの歌を祈りを込めて丁寧に選びたい。