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3月1・2・3日
麗しき春の七曜またはじまる(山口誓子)
昨日、名残雪の地域もあつたが、今日はうららかな地域が多いやうであり、3月の始まりにふさはしい。そして始まりと矛盾するやうだが、激動の年度の締めくくりでもあり、改めてしみじみと感慨深い。祈りを込め、詩歌を選んで行きたい。
佐保姫の眠や谷の水の音(松根東洋城)
古代の人は季節を女神となぞらへ、春の女神を佐保姫、秋の女神を竜田姫と呼んだ。谷の雪も溶け、春の水が流れ、佐保姫も今や眠りから覚めやうとしてゐる。山笑ふなど春を表す美しい、素晴らしい言葉は多い。折々、紹介していく。
蛤や潮干に見えぬ沖の石(井原西鶴)
今日はうららかで、ステキなおひな様の日になつた。蛤は春の季語であり、日本人の祝膳には欠かせない食べ物であつた。西鶴はその蛤に百人一首の二条院讃岐の恋歌をからめ、女心をほのめかした。全ての女性のために贈ります。