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女王ルリオンの誕生奇譚  作者: エンドレス・ルーフィン
第一章:小さな王とのんきな兎
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初めての狩りに花粉を添えて

ま、間に合わなかった...

とりあえず更新です。

「この辺、町すらないんだけど」

「冷静に判断してないで、お姫様抱っこやめてくれない?」


木々に足をかけ、メテオはまた跳躍した。

対して私は両手で抱えられており、顔を赤らめている。


結局、帝国の森からは出られたものの、その先にも森が続いていた。

流石に動物はちらちらと見かけているが、人はまったく見かけない。


「どうする?この調子だと、今夜はご飯抜きの野宿になりそうだよ」

「そ、そうね...とりあえず、鹿とか狩って食べるしかないかな」

「あーあ、表裏一界(リバースアンメモリー)が使えれば、こんなことにならなかったのに...降りるよ」


内臓が持ち上がるような浮遊感のあと、たんっと軽い音を立て、私達二人は地面に降り立った。

いそいそと私はメテオの腕から逃れ、自分の足で立ち上がる。


「じゃ、メテオ任せた」

「嘘でしょ丸投げ?」

「だって、狩りとかしたことないもん」


母上や父上と一緒に行ったことはあるけど...小さい頃の話だし、私自身は狩りをしなかったしね。


「まぁ良いけど...焔雄の英剣(ボルフレア=ニクス)


メテオは渋々承諾すると、ワイバーンを倒す時に使ったあの剣を出現させた。


「...それ、どうやって出してるの?あの...りばーすなんちゃらってやつは使えないんでしょ?」

「これは僕自身の力だよ。前に溶岩だらけのとこに行った時、偶然引っこ抜いたやつ」

「へぇ...」


私達がそんな他愛もない会話をしていると、草がこすれ合う音が聞こえた。


「お、なんかいるっぽいね。じゃあ狩りに行くけど、ついてくる?」

「一応、ついてく」

「分かった。あ、怖くなったら叫んでいいからね。おちょくるから」

「一言多い!行くよ!」


もう...

ずんずんと前を進む私を、メテオは口笛を吹きながらのんびりと追ってくる。


しばらくすると、木が生えていない開けた場所に出た。

花が咲き乱れており、森と言うよりも花畑と呼ぶのがふさわしい。


「わぁ、綺麗...」

「へー、細かいな」


各々、思い思いの反応を示す。

そして──


ガサッ。


──私達がその光景に見とれていると、1頭の鹿が現れた。

角はないが、毛皮は緑色だし、ところどころ花が生えている。


「フラワーディアー...珍しい」

「なにそれ」

「知らないの?森に住む魔物で、果実っぽい味の肉が特徴的なの。基本、どんな料理にしても美味しいと思う」

「へー...で、倒すの?」


メテオはそう聞いてくる。

相変わらず、無遠慮と言うかなんというか...


「食べ物があるなら、私は迷わない。やっちゃって」

「かっこつけてるけどすごいカッコ悪いよ?」

「うるさい!」


また私はかっとなるが、メテオは気にせずに切っ先を鹿に向けた。


「普段ならあんまり動物は殺さないけど...事情が事情だ。ごめんね」


直後、あの時のように、無数の焔色の剣が現れる。

その剣達はメテオの意思に従い、フラワーディアーへとまっすぐに飛んでいった。


(...あれ、でも確か、フラワーディアーって...)


ふと、私はあることを思い出す。

メテオの放った剣が、フラワーディアーに当たる直前。


(あ、思い出した。確か...死の瞬間に、吸い込むと()()()()()()をばら撒くんだっけ)


それに気づいた瞬間。

剣が、胴体に突き刺さった。


「あ」


思わず、私は声に出してしまう。

さ、流石にこれは私のせいじゃ...


ボフン!!


滅多刺しにされたフラワーディアーの花から、黄色い粉が吹き出る。

あらかじめ知っていた私は口と鼻を覆うが、知らないメテオは特に何をするでもなく、もろに花粉を喰らう。


「メテオ!」


咄嗟に、私は叫び声を上げる。

もうもうと黄色い煙が立ち込め、辺りが見えなくなっていく。


煙が晴れた時、そこには...

変わりない様子で、メテオが立っていた。


「...えぇ?」

「うーん、これぴりぴりするなぁ...」


え、どういうこと?

避けてなかったよね??


「いやー、備えあれば憂い無しってやつだね」


...いや、違う。

よく見るとメテオの体が、不自然にきらきらと光っている。

まさか、花粉を凍らせて防いだ...?


「ん?どうしたの、そんな化物を見たような顔して」

「...いや、なんでもない」


やっぱりこいつ、普通じゃない...


「それはそうと、どうやって食べる?焼くくらいなら出来るけど」


しかしメテオは気にせずに、私に指示を仰ぐ。

ほんと、メテオは敵に回したくないよ。


「じゃあ、枯れ枝を集めて、焚き火で...」


数分後、私とメテオは周りに落ちていた枯れ枝から焚き火を作り、メテオが炎を出して着火した。

思いの外メテオは料理が上手く、出されたものはどれも美味しい。


「メテオって料理出来るんだ、意外」

「そんな大層なものじゃないよ。暇な時に身に着けただけ」


ひ、暇な時かぁ...

確かに、こいつってどこかのんびりしてるし、時間があれば色々やるのかな。

ちょっと見直した。


「...ちなみに、今何歳なの?」

「ん?んー...ざっと5万歳くらい?」

「へぇ...は!?」

「精神年齢の話なら、100歳だと思う」

「どっちも訳分かんないんだけど!?」


訂正、やっぱりこいつ規格外だ。

その後も私はメテオに感情を爆発させるが、彼はやはり気にせずに食事をしていた。

初めての狩りは、従者の謎が増えただけだった。

花粉はどの世界でも嫌われるもの。

ちなみに筆者は花粉症ではありません。

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