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8もう遠慮はしない


 「セリーヌ。朝から見せつけてくれるな。俺と婚約破棄の話が出たがまだ正式にそうと決まったわけじゃないんだ。あまりおかしな真似をして俺をこけにする気か?」

 振り返るとオデロ殿下がいた。

 腕にはアーネ嬢が絡みついている。

 うわっ、最悪!朝から嫌なものを見た。

 それにしてもこの状況でおかしな真似をするな?

 何を言ってるの?あなたこそ頭おかしいんじゃない?

 私が何をしたって言うのよ!

 彼から婚約を破棄すると言われた。でも、国王がそれは出来ないだろうと言われてだから彼はまだ一応婚約者なのに!

 オデロ殿下にはやり直すなんて気はさらさらないって事。

 やってられないから。

 散々我慢して来た。でも、もうこれからは我慢はしない!

 「あら、おはようございますオデロ殿下。朝からおかしなことをおっしゃいますわね。あなたこそ婚約破棄が正式に決まっていないのにそうやって他の女性を侍らせているのはおかしいんじゃありません?私をこけにしてらっしゃるんですの?」


 今まではどんなに嫌でも彼に反論などしなかった。

 ただ、黙って我慢していた。でも、もう我慢は必要ないから。

 「な、何を‥それが王族に対するものいいか?不敬だぞ」

 「あら、殿下こそそんな不誠実なことをされてそれは裏切りですか?いえ、確かに裏切りですね。婚約者がいながらそうやって次々に女を囲い込んで‥王族は人を裏切ってもいいと?」

 「つッ!お前‥」

 オデロ殿下がしどろもどろになる。


 私はアーネに目を向ける。

 「アーネ様。あなたも気を付けた方がよろしくてよ。殿下はこれまでにどれほどの女をとっかえひっかえして来たか‥まあ、あなたもご存知でしょうけど。何しろ殿下はすぐに飽きる方ですから。ほほほほ」

 私はわざとらしく声を上げて笑う。

 「何よ!私達は<真実の愛>で結ばれてるの。ねぇ殿下!」

 アーネがオデロ殿下を見る。その唇は悔しそうに噛まれている。

 「あ、当たり前だろ。アーネ。俺達は本物だ」


 私はいいことを思いつく。

 今日の午後は訓練日。ちょうどいいじゃない。

 「なるほど。でしたら午後の訓練でそれを証明して見せて下さる?」

 「ええ、いいわ。殿下、私達の愛が本物だってみんなに見せるチャンスですわ」

 アーネが背筋をグイっと伸ばして殿下に詰め寄った。

 「ああ、そうだな。いい機会だ。もしこれで俺達こそが<真実の愛>のカップルと分かれば‥ああ、セリーヌ後で文句は聞かないからな!」

 「もちろんですわ」

 それで国王が納得して婚約破棄を許してくれれば言うことはないわ。








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