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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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85セリを追いかけて(カイヤート)


 その頃、カイヤートは鬱蒼と茂った魔の森の中心辺りに落ちた。

 ビーサンの翼を掴もうろ手を伸ばしたがビーサンはそれを交わすように翼の距離を取った事は確かだった。

 あっ!と思った瞬間、もう地面に向かって落ちていた。

 空中で獣化して狼の姿になると飛びつけそうな大きな枝に当たりをつけてそこをめがけて落ちて行った。

 一度の跳躍では反動が大きく何度か枝から枝に移って衝撃を緩和させやっと地面に降りた。

 けがはなかったがビーサンがどうしてそんな事をしたのかわからなかった。


 でも、セリを連れ去った事だけははっきりしていた。

 俺はドラゴンがどこに住んでいるか知っている。

 だが行った事はない。北の高い山の断崖絶壁に城がありそこにドラゴンの王がいる事は知っているし、ドラゴンの数が少ない事も知っていた。

 どうしてセリを連れ去ったんだ?

 もしかしてセリを花嫁に?いやいや、無理だろう。あんなでっかい身体でどうやって睦みあう?

 俺は沸き上がる不安を馬鹿な考えだとかき消す。


 一度プロシスタン国に帰るか?でも、そんな時間はない。

 もしかしたら魔呪獣がこの辺りにまだいるかも知れない。呪いは解けたはずだから魔呪獣は元の人獣人に戻っていると考えたい。

 だが、俺はそれを確認したわけじゃない。もし俺が魔呪獣に襲われて死んだりしたらセリはどうなる?

 いや、魔呪獣になんか負ける気はしないが数が多かったら?それに元は獣人だから殺すわけにも行かない。

 やっぱり、この森を抜けてプロシスタン国に帰るよりは一人でセリを助けに行った方がいいだろう。

 すぐにそう判断するとそのまま獣化した姿で北に向かった。


 数時間は走っただろうか、足は疲れて喉も乾いた。どこかに水がないか?

 顔を上げて水の気配を探るが、乾いた空気だけが漂い水の気配はない。

 思わず咆哮を上げる。

 それに苦し紛れに木に身体を擦りつけたりした。

 気持ちに余裕がないせいかなりふり構っていられなかった。

 仕方がない。このまま一気に進もう。

 こんな時にライノスやクラオンがいてくれたらな。

 いや、弱気になってどうする。セリは俺の番。俺が守ってやらなくてどうするんだ?

 しっかりしろ!!

 俺は疲れた身体にげきを飛ばして遠くに見える山を目指す。


 *~*~*


 やっとたどり着いたドラゴンの城。

 すでに三日以上は経っているだろう。

 森では木の実や川で魚を取って食べた。生で魚を食べたのは初めてだったが意外と旨かった。

 しかし‥‥間近に見る城は凄かった。

 はぁぁぁ~何だこりゃ?要塞かよ。ったく。

 断崖絶壁の崖側からは入る余地はないな。

 こうなったら真正面突破しかないか。

 プロシスタン国の城のように壁があり窓があるような様式でないその城はどこもかしこも隙間だらけだった。

 所々に無造作に石が重なられた壁らしきものがあり等間隔に大きな柱の支えがあってその向こうに広い敷地が広がっているのが丸見えだった。

 要するに天幕を張ったような城だって事だ。

 まあ、あのでっかい身体じゃこれが精いっぱいって事だろうが。

 しかし、こいつらどこで寝るんだ?って言うかやる事出来るのか?いや、ドラゴンは空の上でやるとか?まさかな。

 おかしな妄想が脳内を駆け抜け、俺、相当参ってると感じる。


 周りを警戒しながら城の中に走り込む。

 まだ、獣化したままですばしっこく柱の陰に隠れて様子を伺う。

 誰もいない。

 みんな狩りに出かけてるのか?それともビーサンみたいにあちこちの国に出払っているとか?


 突然人間のような姿の男が見えた。

 上半身は裸で腰に布を巻きつけたような格好。靴は履いていない。裸足だ。

 男は何やら急いでいるようだ。その後ろを今度は肩から布を巻き付けた女が敷布のようなものを持ってさっきの男の後ろをついて行く。

 髪は黒色。肌が茶褐色。獣人ではない。でも、人間ではないような。

 俺は獣化を解いて人型になってその二人の後をついて行く。


 城の奥まった場所に向かう二人。やっと扉のある部屋に辿り着きその二人が部屋の中に入って行った。

 俺はどこか中を覗ける場所がないか調べる。

 

 反対側に石を積み上げた壁があり何個か隙間があった。

 俺はこっそりその隙間から中を覗く。

 部屋は薄暗いが人の姿はわかる。よく見るとベッドがありそこに赤ん坊のドラゴンが寝ているらしい。

 すっと目を動かすとベッドの横にセリがいた。思わず声を上げそうになってぐっと喉を閉める。

 『セリ。無事か?助けに来た』

 思考を集中させてセリに言葉を送る。

 セリの顔がハッと上がる。気づいた?

 『セリ?俺だ。無事か?』

 セリがそれに応えるようにこくんを頷く。

 良かった。『すぐに助ける』もう、一秒だって待っていられない。気持ちは早りセリを助け出す事ばかりに神経が行く。

 それにしてもこいつらは?


 『カイヤート、今は無理。私は大丈夫だから』

 『どういう事だ?セリ?!何があった?』

 いきなり番の拒絶に会って脳内が激しくパニくる。

 

 そこにいきなり空前絶後の超美形の男がセリに近づいた。

 何か話をしているみたいだが‥

 その男はセリに優しい微笑みを浮かべると突然セリの手を取った。

 セリの顔は後ろ向きで見えないが、その男は嬉しそうにして今度はセリを抱きしめた。

 お前!!殺す!

 俺は頭の中が真っ赤に染まってその部屋に飛び込んだ。





 




 

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